「自動車vs.自転車」。これから先、ますます深まっていくであろうこの二者の関係をどう捉えていくべきかを考えるべく開催された鼎談の第2回目。疋田智(自転車ツーキニスト)、眞鍋かをり(女優)、そしてハフィントンポスト編集長の松浦茂樹により、啓蒙の重要性が語られていく。
いろんな分野にジャーナリストという職業があるように、自動車にもジャーナリストという仕事があります。自動車を技術的に、または文化や趣味の対象として検証して、媒体を通じて紹介する仕事です。日本ではオーナードライバーが増えたのが戦後ですから、この仕事が成り立つようになったのも戦後ということになりますが、欧米ではそれよりもはるかに長い歴史があります。私は幼稚園のころには、自動車に魂を奪われてしまったくらいのクルマ好きで、自動車について書かれている雑誌や書籍を読みあさるような学生時代を過ごしました。けれども当時の日本には、まだ自動車ジャーナリストといえるような人はおらず、自動車雑誌の記事も、自動車メーカーのエンジニアや大学教授といった立場の人が、各自の専門分野にのみ焦点を当てただけの視点で書かれたものばかりだったんです。そこで私は、欧米の自動車雑誌を取り寄せて興味深く読むようになり、やがてそのような
NSXというクルマは今でも心に甘く切なく響く1台です。私の所有していたNSXは、購入後、6年~7年間で7万5千キロほど乗りました。 NSXを現在の常識や価値観で評価する、あるいは語るというのはとてもむずかしいことではないでしょうか。NSXがデビューした当時、“スーパーカー”という単語はヨーロッパでは、まだ耳慣れない新しいものだったからです。そう、最初のスーパーカーは60年代後半にデビューしたランボルギーニ・ミウラという人もいるでしょうね。でも、真の意味で、今日のスーパーカーの爆発的ブームは1980年の終わりから始まったのではないでしょうか。 その80年代末というのは、マクラーレン・カーズ(McLaren Cars)が、ちょうどロードカーのマクラーレンF1の構想をつくり始めていた時期でした。したがって私は、私自身が真に作りたいクルマとはどういうものかを考えることに集中していました。 私の理想
お詫びと訂正 Business Media 誠編集部では、講演主催者であるアカデミーヒルズから事前に取材の許可を得て、講演内容を詳細に記事にしました。しかし、アカデミーヒルズから「講演者である奥山氏から、講演内容の掲載の承諾を得ていなかった。有料講演であること、また内容のレポートも出すこともあり、詳細な講演内容の公開は取りやめていただきたい」という要請が後ほどあったため、当初の記事を差し替えました。読者のみなさまにお詫び申し上げます。(1月26日 編集部) フェラーリが創業55周年を記念して発売したエンツォ・フェラーリをデザインした奥山清行氏は1月18日、東京・六本木のアカデミーヒルズで講演、デザインを切り口にものづくりの現在を語った。 関連記事 良いデザインとは何か?――深澤直人のデザイン論 デザインイベントの展示から熱くなるものをなぜか感じられなかった筆者。しかし、プロダクトデザイナー
来週はクリスマスだというのに、ちっとも寒くなりませんね。 私はスキーが大好きで、雪便りを聞くともういても立ってもいられなくなるのですが、地球温暖化の影響なのか、今年は一向に雪が降ってきません。国内のスキー場はどこも絶望的な状況で、開場の安全祈願に呼ばれた神主さんが、少しも雪の着いていない原っぱのような無惨なゲレンデで、半ばヤケクソ気味に大麻(タイマじゃないですよ、オオヌサと読みます。あのシャカシャカした紙のついた棒です)を振り回していたりします。 スキーに行くには雪道を走る必要がある(この状況では大して心配いらないのですが……)。雪道に強いのは何と言っても4輪駆動車です。とりわけ軽のヨンクは圧倒的に強い。 今まであまり気を付けて見ていなかったのですが、見渡してみると各社の軽自動車にはヨンクの設定が実に多い。多い、というか、ほとんど全ての車種にヨンクが設定されています。これは普通乗用車には見
三本和彦(みつもとかずひこ)氏のプロフィール 1931年(昭和6年)12月22日、東京生れ。 国学院大学経済学科卒業後、東京工芸大学(旧写真大学)写真技術科卒業。 1956年(昭和31年)東京新聞社入社。編集局・写真部記者となる。 1969年(昭和44年)フリーランスのフォトジャーナリストに転身。 現在、(有)三信工房代表。日本写真家協会会員。 その反骨ジャーナリストぶりを発揮して著作多数。 主な著書は「世界最長ラリーに挑戦して」(二玄社刊) 「お金のかからないクルマの使い方」(光文社刊) 「三本和彦・もう黙っちゃいられネエ」(三推社刊) 「三本和彦・怒りのサンドバック」(立風書房刊) 「クルマからみる日本社会」(岩波新書) 「辛口クルマ選び徹底ガイド」(日本文芸社刊) 「『いいクルマ』の条件」(NHK出版) 他多数。
「新車情報」に出演して頂いた方々で、忘れえない方が随分いる。 トヨタ・スターレット後輪駆動車(KP61)の最終モデルの主査だった永井守さんに、スターレットを自己採点すると「何点ですか」と突然訊いてみた。 2代目スターレット(KP61)1978年型 すると、いきなりの質問に永井さんは小柄な躰を「ピクンッ」と震わせた。想定外の質問だったからだろう。スターレットのルーフを擦でながら、「ヒ・・・ヒャク点ッ。100点ですゥ」と、かるく吃りながら答えてくれた。 自分の仕事を自己採点するに当たって、いろいろな反省点などがあろうから、85〜90点ぐらいの予想をしていた私の方がビックリした。そこで、「なぜ100点ですか」と追討ちをかけた。 興奮のためか、少し吃りながら永井さんは説明をはじめた。 「外からご覧になる方には、判らないことかも知れませんが、スターレットの新車と取り組む前に、上司から種々与えられる条
2サイクルエンジンに排ガス対策を施したフロンテ7S(1977年) '70年代終り頃の自動車業界は、各メーカーとも新技術の投入に熱心だった。とくにホンダと三菱はフルラインを目指して、新技術の導入に熱心で、保守的だったトヨタ、日産には見られない特徴的技術の火が、消費者には力強い、ちょっと眩しさも感じられた。 一方、軽自動車の原動機は、小型、軽量、簡素といった点から、2サイクル・エンジンが主力だった。ただホンダだけはスタート時点から4サイクルを主張し、360cc4気筒エンジンを積んだ「T360」なるピックアップ・トラックまで登場させる土壌をもっていて、排ガス処理に悩む軽自動車メーカーの中で、一頭抜き出ていた。 ホンダとは対照的だったのはスズキで、4サイクルにほとんど手を染めていなかったところから、設備、研究面で遅れをとり苦境に立っていた。当時の通産省、運輸省に担当技術者や社長はじめ役員が日参し、
‘77年7月6日に(テレビ神奈川)TVKから発信した「新車情報」は、スタートから約10本目程はVTR(当時は16mmシネフィルム)を使わなかった。理由は簡単で、「制作費が嵩むから」というのである。 初期の番組体裁は、取り上げたクルマをスタジオに引っ張り込んで、その前に司会者が立ち、取り上げたクルマの概要を語り、次に製造メーカーの担当責任者に消費者(ユーザー)側の疑問や要望を投げかける、という段取りなのだった。 (動く画がなけりゃTVじゃねェや)と思い、口にもしたが、番組担当者達は口を揃えて「ウエの者は、それで良い、と云っているし、制作予算が足りないから・・・」というのが理由だった。 番組制作費用がそれほど逼迫しているということは無い筈と思えたが、とにかくこのTV局はシロウトが多過ぎると思えた。社長サンは元行政の局長サンクラスの天下りサンだったし、元キー局などでTV現場で制作の仕事をしていた
「新車情報」という番組タイトルが決まると、番組プロデューサー、チーフディレクター、作家、営業担当者などと顔合わせ兼打合わせという簡単な会議が行われた。 作家の野村六助氏こと「ロクさん」とは、NETテレビの「13時ショー」の時に付合いがあったが、他の面々とは初対面で、名刺交換から始める有様だったが、プロデューサーのTという35才ばかりの奴が、いきなり「僕はジドウシャが嫌いで、クルマなんてものが存在するから社会や環境が毒されると考えている者です。なんの因果か、こんな番組を担当させられる事になり、面喰ってるところですが、仕事ですから仕方ありません。よろしく」と云うのが挨拶の口上なのに呆れた。 モノのカミ・シモも理解しない若僧に、勝手な熱を吹かれて「よろしく」と合槌が打てるほどこちらも丸くなっていない年齢だったから、売りコトバに買いコトバで言ってやった「たいそう進歩派じみた物言いだが、クルマの果し
港ヨコハマを象徴するマリンタワーの裏がテレビ神奈川 「毎度ぶしつけなまま続けている番組です。宜しくお付き合いの程、お願いいたします。」で問答を始める“新車情報”というテレビ神奈川(TVK)の番組を27年9ヶ月ばかり行なって、あまり長く続けるのもナンなので、’05年4月に降板した。 ‘76年の秋に、私がかねて考えていた“自動車”の話題を、茶の間へ電波で届けられぬものかと考え、基本台本のような企画書のようなモノを創り、知り合いの居るTV局の制作担当者を口説きに回った。 冗談まじり、軽口を混えて売り込むと、相手になってくれた担当者は、声を立てて笑い「こいつは面白い!」といってくれたが、もう一歩踏み込んで具体化を迫ろうとすると、「失礼ですが、あなたは番組制作にはシロウトです。この番組をドコのダレに売りますか。自動車メーカーは、民放にとっては替え難い大スポンサー。こんな番組を流したら、それこそ大変な
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