何度も述べて来たように、菅直人前首相の人格・資質・能力には大いに問題ありとしても、直ちに引きずり下ろさなければならないほどの大失策があった訳ではなく、その意味では、やらずもがなの民主党代表選ではあったけれども、まあともかくも、小沢一郎代表の傀儡という以外に特に意味のない海江田万里にならなかったのは、不幸中の幸いだった。海江田が第2回投票で敗れた相手が、前原誠司元外相ではなく野田佳彦前財務相だったのはいささか意外だったが、前原は国民の間で人気投票をすれば圧倒的な人気があるが、党内では言動の余りの軽さを嫌う者が少なくないのに対して、野田は逆で、一般には印象が薄いが、党内では黙々と地道に与えられた仕事をこなして決して偉ぶらない人柄を悪く言う者はほとんどいない。その違いを野田自身、金魚とドジョウに喩えたのだろう。派手に対する地味の勝利と言える。 ●幹事長人事のしたたかさ 地味であっても引っ込み思案