非Bt品種の方で純利益が大きいのは、第一に種子価格の差による。Bt品種は害虫防除手段を種子に組み込んでいるため、殺虫剤散布の必要度は減るが、その分、非Bt品種より種子価格が2、3割高い。一方、非Bt品種は殺虫剤散布によって害虫被害を防がなければならないが、Bt品種の導入によって、地域全体でアワノメイガの発生量が減ったため、周辺の畑でも殺虫剤散布が減り、農薬代を節約することができたのだ。アワノメイガのメス成虫はBtと非Bt品種を区別して産卵できないので、Bt品種に産卵し孵化(ふか)した幼虫は発育初期に死んでしまう。つまりアワノメイガにとってBt品種は「行き止まりのおとり作物(dead-end trap crop)」となっており、その効果が非Bt品種にも及んでいた。アワノメイガはトウモロコシのほか、ジャガイモやインゲンマメなども加害するので、これらの作物での被害も減っている可能性があると Hu