小田急電鉄は東京都の世田谷区で複々線化事業(上下線を各2本ずつの線路に拡張する事業)を進めている。トンネル工法を使って線路と3カ所の駅を地下に移動するのと合わせて、2つの駅に地中熱を利用する空調システムを導入した(図1)。 地中は地上と違って、夏と冬の温度がほとんど変わらない。この特性を生かして、夏は冷房によって生じる熱を冷たい地中に排出する一方、冬は暖かい地中の熱を取り込んで暖房に利用することができる。空調の効率が良くなり、電力やガスの使用量を削減できるメリットがある。 小田急電鉄が採用した地中熱利用システムは「水平方式」と呼ばれるもので、駅のトンネルの下にある床の部分にコイル型の熱交換器を設置した(図2)。この熱交換器が空調システムのヒートポンプと連動して冷暖房の熱源になる仕組みだ。通常の空気を熱源に使う空調システムと比べて、年間のランニングコストが約30%削減できることを見込んでいる
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