エピデミック 作者: 川端裕人出版社/メーカー: 角川書店発売日: 2007/12メディア: 単行本 クリック: 28回この商品を含むブログ (42件) を見る 「先生、もう状況は聞かれてますよね」 「うん、さっき、島袋クンから連絡があった。ぼくがこの時点で思うのはね、SARSだったら逆によかったと思わなきゃならないんじゃないかな、ってことで……」 「はい?」高柳の声がうわずって聞こえた。 あれ、ぼくはなんか変なことを言ったかな、と棋理は自問する。しかし、きわめて論理的に正しいことを言ったまでだ。 『エピデミック』。 川端裕人の最新作は日本初の「疫学小説」である。ハードカバーで500ページに及ぶ超大作で、読みごたえ十分。 内容も端正かつ迫力満点で、一見地味なテーマでも読ませる読ませる。「疫学」という学問の存在自体を知らないひとにも十分にお奨めできる力作だ。 物語の舞台はある地方都市。沿岸の
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