出張を終えて久しぶりに家に戻り、娘とお茶を飲みながら話をした。 「自分にとって都合の悪い人、いやな気分を与える人、苦手な人、そういう人が自分を一番育ててくれるものだ。そういう人がいなかったら自分は成長などせず同じままだよ……」 などと私が言ったのは、自分の父親を思い出してのことだった。あの父が死んでからもう三年が経ち、もうすぐ四年目に入る。寒くなると父のホスピスに通った日々を思い出すのだ。ほんとうに大変な父親だった。酒乱のあげくアルコール依存症になり、おまけに境界性人格障害でめちゃくちゃな人だったが、あの父がいなかったら……今の私はない。それは絶対にそうなのである。私の人生はひたすら父との葛藤と闘いの人生だったが、結果的に私は父を尊敬し好きである。なにかと父を思い出す。そして父亡き後、私をあれほど困らせ、怒らせ、悔しがらせ、悩ませ、落ち込ませ、奮い立たせる存在がこの世界にないことを、とても

