ガチョウを極度な脂肪肝にしてフォアグラを作るには、ガチョウを運動不足にさせながら、大量の餌を強制的に与える必要がある。このような強制飼養のことをフランス語でga・vage(ガバージュ)と呼ぶ。 10代前半の少女たちに対して、伝統的に“ガバージュ”(強制肥満化)が行われている国がある。サハラ砂漠の西端に位置するモーリタニアである。 砂糖でうんと甘くしたラクダ乳や雑穀の粥を少女に無理やり飲み食いさせる。嫌がれば罰が待っている。指やつま先を潰されたりする。 ザヤールと呼ばれる木製の万力も使われる。少女たちはそれに足を挟まれる。大量の食事を食べ終えたときだけ、緩めてもらえる。 マリエムさんは、こう話す。「家の者は、姉が12歳になると、15歳までに肥満体になるようにとラクダ乳や粥を強制的に与え始めたのです。それが姉の嫁入り準備というわけでした」。 わが国や欧米では、やせている女性が美しいとされる傾向