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ふたつの震災と電子書籍
1995年の震災 1995年1月17日から数日たったある日、編集部にかかってきた電話の受話器をとると、いつも... 1995年の震災 1995年1月17日から数日たったある日、編集部にかかってきた電話の受話器をとると、いつもの調子の聞きなれた声が耳に入ってきた。「神戸のナカイですが」。中井久夫先生がご無事だったことにひと安心し、大震災に見舞われた神戸の様子をうかがいながら、おそるおそる「このようなとんでもない時になんですが、被災地内部からの記録をまとめて少しでも早く本にしませんか」と言ってみた。しばしあって、「そうしましょう」との声が返ってきた。頼む側もつらかったが、引き受ける側がもっとつらいのは当然であった。ただ、おたがいニュアンスは違っても、たとえば関東大震災後にみられたように、噂と虚構と事実が綯い交ぜになってその後の歴史で恣意的に浮き沈みするようなことを二度と繰り返してはならないという思いがあった。 1月末から2月はじめにかけてファックス送信と電話での聞き取りを併せて、まずは『みすず』誌2月号に「
2011/04/23 リンク