トム・ヨークの歌は、サンタクロースはいないのだと告げられたばかりのメソメソしている子どものようだ、などと、しばしば酷評されるものの、はたして彼は世間が言うほど憐れな人間なのだろうか? この謎を解き明かすため、トム・ヨークの歌詞の中でも特に優れたものを挙げていく。 10位 “Wolf At The Door” オックスフォードで育ったトム・ヨークは、特権階級の無礼な同級生たちが、彼らに用意されている政治的な食物連鎖の頂点に立つ前から、わがもの顔で町中を歩くことに対して絶え間ない苛立ちを感じていた。2003年の『ヘイル・トゥ・ザ・シーフ』に収録されているこの楽曲の歌詞は、額面どおりにも比喩としてもすぐに認識できる、不快なイメージを捉えている。 『パブロ・ハニー』や『ザ・ベンズ』では、我々がロック・バンドに期待していたロマンへの憧れや嫉妬心、名声を得た後のブルースといった感情が詩的に、センセーシ