昔パリの古本市で同じ著者の『小説集Ⅱアジア小説集』とともに購入した1冊。ゴビノーは『ルネサンス』という訳書がみすず書房と角川文庫から出ていたようですが、見たことはありません。古書価は随分と高いようです。ゴビノーという人は、ウィキペディアによれば、人種差別の思想の権化のように書いてあります。 小説巧者という印象。単純で薄っぺらな物語でなく、落ち着いていて重厚な印象です。前回読んだFarrèreに比べてずいぶん文章が回りくどく、人物がたくさん出てきて錯綜しています。文章が難しくなったおかげで、小説を読むときの最低限のポイントを把握するこつを掴んだように思います(何をいまさらという感じですが)。それは登場人物が誰で、いつの話、場所はどこでということに注意し、場面がどう変わっていくか、人物の動きはどうかを、絶えず意識して読むということです。下手をすると場面が変わっていたり、誰が喋っているか分からな
19世紀のフランスの伯爵ゴビノー(Joseph Arthur Comte de Gobineau 1816 - 1882)は『人種不平等論』を出版し、ヨーロッパ人、広くアーリア人種の優越性を説いた。白、黒、黄色の三人種の差違は自然が設けた障壁で、混血によってその障壁が破られると文明は退化すると……。 人種イデオロギーの父とも呼ばれるゴビノーは1850年代、当時の外務大臣トックヴィルに引き抜かれて彼の秘書をしていた。専門の民族学や人類学者ではなく、旅行で得た観察からアマチュア学者としてこの本を上梓した。 例えば東洋人についてゴビノーはこういう評価を載せている。 「黄色人種は凡庸で、実用性を好み、秩序を尊び、ある程度の自由の価値を知ってるが、夢想したり、理論化することを好まない。それほど深淵、崇高でないものは理解でき、みずから発明はしないが、自分に役立つものなら、価値を認めて取り入れる……」
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