2012年03月22日 ナボコフの「変身」講義を読む ナボコフの『ヨーロッパ文学講義』収録のカフカ「変身」講義を読んだ。1948年ころナボコフがコーネル大学で行っていたロシア文学とヨーロッパ文学講義をノート等をもとに書籍化したのものである。 ヨーロッパ文学講義 ウラジーミル ナボコフ 野島 秀勝 阪急コミュニケーションズ 1992-11 この本で扱われているのは オースティン『マンスフィールド荘園』 ディケンズ『荒涼館』 フロベール『ボヴァリー夫人』 スティーヴンソン「ジキル博士とハイド氏」 プルースト『スワンの家のほうへ』 カフカ「変身」 ジョイス『ユリシーズ』 である。が、なんということだろう、わたしはこのうちのわずか二つしか読了していない。なので今回はカフカの「変身」のところだけを読んだ。(アップダイクによる「序文」ももちろん読んだ。なんでも嫁がナボコフの講義に出席してたのだとか。)
ファスビンダーとナボコフ ―<似ていない>分身を求めて― 高 木 繁 光 0. クリント・イーストウッドの『チェンジリングChangeling』(2008 Clint Eastwood)では、誘拐された子供を探す母親が、堕落した警察権力によって 似てもいない子供を我が子として引き渡され、いくら違うと主張しても当局 に操作されたメディアと御用学者によって精神病者の烙印を押され、精神病 院に収監される。一方、ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー Rainer Werner Fassbinderが映画化したウラジミール・ナボコフVladimir Nabokov原作 の『絶望 光の中への旅Despair - Eine Reise ins Licht』(1978)では逆に、自 分と瓜二つの分身に出会ったと思った主人公が、分身を殺害して保険金を手 に入れようと企むものの、警察もメデ
nibuya @cbfn 意図的誤訳って、意味ありげで誤解しないように。ナボコフの『ロリータ』の有名な一節がフランス語訳だと、直訳すると先ほどのようになることに、まあ、フランス語って不思議な言い回しになるなあ、と思っただけの話。因に日本語訳だと「殺人犯というものは決まって凝った文体を用いる」とかになります 2012-11-01 21:00:46 nibuya @cbfn 周知のようにその言葉の直前の文を直訳すると「何年前かというとロリータが生まれる何年も前、その年の数は、私にとってその夏が人生で何回目の夏だったか、それとほぼ同数になる」という何とももって回った言い回しの文で、僕らはナボコフで時折迫られる推定の「偽の算数」に巻き込まれることになる 2012-11-01 22:06:14 nibuya @cbfn むろんこの算数は簡単にすぐ「あの夏」がたぶん「私」が13歳になった年だと分かるの
024 |現代文芸論研究室論集 2009 — 論文 — 自作翻訳とはなにか ウラジーミル・ナボコフを中心に 秋草 俊一郎 1、はじめに 現在、翻訳論 “translation studies” は、欧米を中心にかなりの隆盛を誇ってお り、毎年渉猟しきれないほどの研究書や関連文献が出版されている。しかし、作 者が自分で自分の作品を翻訳する自己翻訳、あるいは自作翻訳 “self-translation” について論じたものは驚くほど少ない 1 。たとえば、ジョージ・スタイナーの浩瀚 な翻訳論『バベルの後で:言語と翻訳の諸相』After Babel: Aspects of Language and Translation においても、わずかに「その解釈学的なモデルは、本質的には無 償の献身的な行為であるが、ナルシシズムに溢れた試みか、作者自身による認証 でもある “The hermene
古い新聞記事。じゃなくて、今は存在しない「英語青年」という雑誌のページの切り抜き、がでてきたのです。数ヶ月前のこと。それからこの切り抜きをあっちにおき、こっちにおき、目立つところにおいたり、書類の上にのせておいたり。そうして、この切り抜きを見るたびに、気になって気になってしかたがなかった私・ミチ。とうとうここに書きうつしてしまいました。 ・・・・Strong Opinions に収められたあるインタヴューの中で、現実という言葉についてナボコフは次のような意見を表明している。 「現実とはきわめて主観的なものだ。私には、一種の段階的な情報蓄積か、または特殊化だとしか定義できない。たとえば、どんな自然界の対象物でもいいのだが、仮に百合を考えることにすると、百合は普通の人間よりも博物学者が見る方が現実的に見える。しかしそれよりも植物学者が見る方がさらに現実的である。そしてさらにまた、百合の専門家で
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