日本経済再生の原動力を求めて 2010 年 11 月 深尾京司 (一橋大学) 権 赫旭 (日本大学) 1.はじめに 日本は 1990 年代以降、長期の経済不振に苦しんできた。本論文では、この「失われた 20 年」から日本を再生させる原動力について、考察してみたい。 著者のうち一人は既に、金・深尾・牧野 (2010) において「失われた 20 年」の構造的原 因について詳しく分析した。そこで示したように、日本にとってまず必要なのは、20 年に わたって続いた貯蓄超過問題を克服するために、民間の消費や設備投資を回復させること である。投資の面では、実質金利引き下げにより投資を刺激するよりも、1 生産性上昇の加 速や国内立地の優位性回復を通じて、投資の期待収益率を上昇させ、持続可能な設備投資 拡大が行われる状況を作り出すことが重要と考えられる。生産性上昇は、人口減少と高齢 化が今後更に