本稿は、出版業界紙『新文化』2014年9月11日発行号に寄稿した原稿の完全版です。文字数制限でカットされた部分を残し、文体を敬体へ修正しています(著者)。 値引き以外の手段でどうすれば売れる? 『4P』に基づき論考 紙の書籍・雑誌とは異なり、電子書籍は再販価格維持制度の対象ではありません。だから電子書籍は販売促進策として、値引きを用いることが多いです。値引きコストを負担しているのは、出版社の場合もあれば電子書店の場合も、両社で折半している場合もあります。2割引や3割引は珍しくなく、中には7割引という 破格のセールもあります。 値引きは手間なくできて、効果の出やすい販売促進策です。ただ、安易に値引きを繰り返していると、ブランド評価を下げたり、通常価格で売れなくなったり、利益を圧迫したりします。では、値引き以外の手段で、どうすれば売れるでしょうか? 本稿では、マーケティング手段の代表的なフレー