紀元14~40年にかけて中国古代国家の「新」「後漢」で鋳造されたとされる貨幣「貨泉」3枚が、兵庫県南あわじ市八木入田の入田稲荷前遺跡で見つかった。同市教育委員会が18日発表した。弥生時代に日本へ流入したとみられ、一度に出土した数量としては全国で3番目の規模となる。 貨泉は九州や近畿、瀬戸内海沿岸などの遺跡で計約180枚が見つかり、兵庫県内でも7遺跡10枚に上るが、複数がまとまって出土するのは珍しい。市教委は「海上交通の要衝だった淡路島が弥生時代の流通で果たした役割を考える上で重要な史料」としている。 ほ場整備に伴う調査で、昨年12月に3枚が重なった状態で出土した。直径約2・3センチ、厚さ約1~1・3ミリ、重量約1・5~2・5グラム。中央に一辺7~8ミリの四角い孔(穴)が開いており、片側の面に「貨」と「泉」の文字がある。新代の規格と異なるため、後漢の初期に鋳造されたとみられる。 入田稲荷前遺