2016年6月 昨年は流行語大賞に「刀剣女子」がノミネートされるなど、日本刀ブームが世を賑わせました。博物館の日本刀展示コーナーにも多くの若い女性の姿が見受けられ、「古墳時代の刀剣」を主な専門分野とする筆者は、刀剣への注目度が上がることを密かに喜んでおりました。ところが悲しいかな、筆者が研究対象とする古墳時代の刀は、土の中に埋まっているうちにすっかり錆びてしまっていて、刀身の輝きや刃紋といった刀独特の美しさは見る影もありません。擬人化したところで満身創痍の老侍にしかならない古墳時代の刀は、刀剣女子に一顧だにされない存在なのです。 しかし古墳時代の刀は、刀身が錆びてしまったからといって、決して魅力を失ってしまったわけではありません。ここでは、あまり顧みられることのない古墳時代の刀の楽しみ方について、解説してみたいと思います。 「刀」が日本列島に出現するのは弥生時代。次の古墳時代には次第に主流