頼れる人物と頼れない人物のちがいとは何なのでしょうか。日頃から立場的に頼られたいと思っている人は、この本を読むと答が見えてくるかもしれません。 『安全。でも、安心できない…――信頼をめぐる心理学』中谷内一也 ちくま新書 2008年 208p この本は、リスクという概念やある物事のリスクを市民に知らせる「リスク・コミュニケーション」について書かれたものだ。でもリスクの話のみに捉えられてしまうのはもったいない。主題が「信頼」だからだ。 世間には「あの人の言うことはどうも信用ならん」という印象をあたえる人がいる。いっぽうで「あの人の言うことなら信用してもいい」と感じさせる人もいる。この本を読めば、その違いが見えてくる。 まず著者は、市民がある物事について安心を得るまでの過程を、「二重過程理論」という理論で説明する。人が「それは安全か危険か、どのくらいのリスクか」と知りたいとき、とことん調べあげる