その未来はどうなの? (集英社新書) 昨年の8月に出たばかりの橋本治の近著。あとがきによると彼は重い病気でしばらく入院しており、やっと退院した後で出した最初の本らしい。そういう状態で書かれた本書は、しかし、彼の最近の著作の中でも最も出来の良い優れた評論集だと思う。 連続したエッセイの形でテレビ、ドラマ、出版、シャッター商店街と結婚、男女、歴史などの未来について論じている。テーマの選び方がいかにも橋本流であり、そしてどれも非常に面白い。 たとえば彼はTPP (環太平洋パートナーシップ協定)に加入した後の未来について論じているが、加入後にどうなるかは分からないと、最初にはっきりと書く。しかし「どうすべきか」という問題の立て方をしなければいけないのに、「どうなるのか」というパッシブな思考方法では、出発点からして間違っている訳だ。 「『初めに結論ありき』のこの国では、考えられるメリットとデメリット
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