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ブックマーク / elmikamino.hatenablog.jp (8)

  • 島尾敏雄と相馬焼 - 記憶の彼方へ

    asin:4309018769 島尾敏雄は相馬焼の湯呑みを愛用していたという。私の祖父も、あの大きな二重の作りの湯呑みを愛用していたことを思い出した。幼かった私はその側面に穿たれた穴に得体の知れぬ怖さを覚えた。 おとうさんの故郷は福島県相馬郡小高町で、江戸川区小岩の家には、濃い緑色と下半分が茶色の相馬焼きの湯呑みや、三年味噌だとかいう塩辛い黒い味噌、たくさんの種類の豆や緑色の草などがあって、北国の田舎の青カビのような、懐かしいともそうとも言えない、肌にへばりつくような香りを振りまいていました。 そういえば、四人が小岩を遠く離れて暮らすことになった昭和三十年代の奄美大島では、納豆は勿論、おとうさんの好きな黒い三年味噌も色も塩分も濃い味噌汁も、煎やそばや寿司さえ、島のどこを捜しても、影も形もありませんでした。 器の周りに空気を閉じ込めて、中に注がれたお茶が冷めないようにという工夫なのか、

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    hikabu
    hikabu 2011/11/05
  • イタリアンレストランのロゴの書体は如何に - 記憶の彼方へ

    帰省した娘たちとピザをべに行った。美味かった。ただその店のロゴの書体に微かにひっかかりを感じた。それはカリグラフィーの要素の強い書体だった。私のごとき素人でも、ちょっと調べてみれば、それは無償配布されているAdria DB Normalという書体であることはすぐに分かる。ただ、この書体がいつだれによってどんな思想にもとづいて設計されたかは不明である。 Adria DB Normal かつて朗文堂の片塩二郎氏が語ったエピソードが記憶の片隅に残っていたからか、イタリアンレストランなら、カリグラフィーの要素を排除したボドニ(Bodoni)の書体を使うのがデザイナーの常識だと思い込んでいたことが、かすかなひっかかりの原因だったようだ。 ミラノで十二年間修行したコックさんが、格的なイタリアレストランを日で開業する際に、日のあるデザイナーにトータルなデザインを依頼したんです。デザインが仕上がっ

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    hikabu 2010/12/29
  • ギョーカイの人ですか? - 記憶の彼方へ

    夕方、自宅にADSLから光回線に切り替える工事が入った。回線の引き込み工事を担当したオッサンがかっこよかった。私よりも少し若い、多分四十代半ばか。ボーズ頭に浅黒い精悍な顔立ち。てきぱきとした、しかも時々鼻歌を歌う余裕のある仕事ぶり。無駄口はたたかないが、いいタイミングで軽い話題を振り、こっちが仕事の邪魔にならない程度に振る話題にはひとひねりして返す機転。作業を観察するのも、彼との言葉のやりとりも楽しかった。そんな彼がパソコンをちらりと見て、「マックですね。ギョーカイの人ですか?」と聞いた。最初意味が飲み込めず、「ギョーカイ?」と聞き返した。「多いんですよ。マック使っている人が。ギョーカイには」 ああ、そうかIT業界のことか、と合点したが、ギョーカイの人であることを敢えて否定せずに、話を進めた。仕事柄当然のごとく、コンピュータやインターネットに詳しい話ぶりだった。ところが意外な話の落ちがあっ

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    hikabu 2008/12/28
    かっこいい
  • 絶対文字感と真性活字中毒者 - 記憶の彼方へ

    asin:4416606079 シンプルでほのぼのとした造に惹かれて読み初めた書体デザイナーの片岡朗(かたおか あきら, 1947年生まれ)が書いた『文字』に、凄いらしい人物が登場する。築地電子活版代表の府川充男(ふかわ みつお、1951年横浜生まれ)。片岡朗は府川充男についてこう書いている。 二〇〇五年、府川さんは『聚珍録』というを出しました。全三分冊、総計三五〇〇ページで近世・近代日の印刷史・活字史をまとめた空前の規模の大作です。一見、研究者のための専門書のようですが、過去の活字を図録として見ることのできるこのを、僕は「デザイン書」だと思いました。時代の流れとともに良くなるものもありますが、少なくとも文字は、かつての活字のほうが優れた形をしていた。だから文字を見る目を肥やすには、昔の資料を見ることが大切なのです。『聚珍録』は日中のすべてのデザイン会社に一セットずつ置かれるべ

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    hikabu
    hikabu 2008/03/14
  • Garamond、カリグラフィーの記憶 - 記憶の彼方へ

    欧文書体のうち、16世紀以来の複雑な系譜をもち、もっともポピュラーで、もっともよく使われてきたのがGaramond(ガラモン、ギャラモン)である。書体としてのGaramondの概要はこちらで。 Variation of Garamond(朗文堂 type cosmique) ギャラモン(ウィキペディア、最終更新 2007年9月21日) Claude Garamond's roman text face in use c. 1485. *1 港千尋氏は『文字の母たち』(asin:4900997161)のなかで、フランス王立印刷所を舞台にして、十六世紀から十九世紀にいたる王政、帝政、王政復古という近代史を背景にして、ガラモン体に始まるローマン体の近代史をいわゆる「王の文字」の観点、すなわち文字と権力の結びつきの観点から鮮明に描いているが、そのなかで特に、Garamondの生みの親である彫刻師ク

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    hikabu 2008/02/21
  • ハクセキレイ - 記憶の彼方へ

    札幌、曇り。寒くない。 うっすらと積もった路面の雪も融けかかっている。藻岩山はうっすらと雪化粧(→ Mt. Moiwa, December 2nd, 2007)。 まだあるかなあと思いながら立ち寄った空き地のヤマブドウの実はまだあった。 三軒の空き家が解体されて更地になった土地に、もしやと思ってヌルデの木の痕跡を探す。ヌルデは周囲に根を張っていたようで、このような引きちぎられた痕が数カ所残っていた。 まだ持ちこたえている。 凍った滴。 藻岩中学校の駐車場で丸々と肥えた一羽のハクセキレイ(白鶺鴒, Motacilla alba)が辺りに散らばる種をついばんでいた。その動き、仕草が可愛いと思って、ビデオ撮影した(→ YouTube Video: Motacilla alba, 60sec.)。ハクセキレイの動きを1分間じっと見たのは生まれて初めてのような気がする。予測を裏切る動きに振り回される

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    hikabu 2007/12/02
  • 私の検索論 - 記憶の彼方へ

    情報倫理と情報文化論の受講生の皆さん。インターネットにおける大きな変化の認識を深めるなかで、私がこの一年間に特に「検索とは何か」をめぐって書いた記事の内主要なものを古いものから順に一覧にしましたので、目を通してみてください。いまだにちゃんと理解されていない「ウェブ進化」の意味、「検索」の広がりと深さに気づくと思います。 2006-04-26 『ウェブ進化論』を読む0:インターネットの真の可能性 2006-05-10 『ウェブ進化論』を読む1:「革命」であることの真の意味 2006-05-17 『ウェブ進化論』を読む2:グーグルの凄さ 2006-05-24 『ウェブ進化論』を読む3:ロングテール現象とWeb 2.0 2006-05-31 『ウェブ進化論』を読む4:ブログと総表現社会 2006-06-07 『ウェブ進化論』を読む5:ウィキペディア(wikipedia)の「信頼性」 2006-0

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    hikabu 2007/04/29
  • 屑の叡智 - 記憶の彼方へ

    梅田望夫さんが非常に意味深長なことを書いている。 「Wisdom of Crowds(群衆の叡智)」元年の最後で、私はある言葉に眼が釘付けになった。 年末年始は、去年から溜めに溜めた、何十冊分くらいになるはずの膨大な「再読用書評・感想集」を読みながら、ああでもないこうでもないとずっと考え事をしていた。それで、やはり改めて「Wisdom of Crowds」(群衆の叡智)とは、とてつもないことで、何もまだ始まっていないのだな、と思う。これまでは人間の脳という物理的な制約の中に閉じ込められてきた個人の経験や思考が、これからは他の人たちとゆるやかに結びつき始めるのである。そういう「Wisdom of Crowds」元年がまさにいま始まろうとしているのであって、そういう未来を垣間見せるきっかけとなった初期の道具としてのSNSやブログの枠組みが今のままで「終わり」であるはずがなく、イノベーションに

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    hikabu
    hikabu 2007/01/06
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