4月25日より穀雨の次候「霜止出苗(しもやみてなえいずる)」となります。夜間の降霜もなくなり、南方系の植物である稲の種子も芽ぐみ、早苗がすくすくと育ち始める頃。そんなわかりやすい和暦七十二候に比べ、中国宣明暦の七十二候では、穀雨次候は「鳴鳩払其羽(めいきゅうそのはねをはらう)」。「鳴鳩」、これが何の鳥なのかが問題です。古典に登場する鳥の種類の同定は一筋縄ではいきません。まして頭に何かの文字がつく「鳩」ほど、ややこしい難物はなかなかないのです。正体にせまってみましょう。 近年の東京の平地では、終霜(しゅうそう・そのシーズン最後の降霜)の時期は早い時期で2月上旬から、遅くとも3月いっぱい、というあたりですが、東京の終霜の記録を見ますと、明治から大正にかけての終霜は4月中の年がもっとも多く(大正15年の終霜は何と5月16日でした)。この時期に「「霜止出苗」を置いた七十二候の設定は、温暖化がすすむ