タグ

ブックマーク / www.rieti.go.jp (54)

  • コラム「学問・研究の倫理と日本の大学・研究機関の信用-再び小保方氏問題によせて」

    理化学研究所(以下「理研」という)の小保方晴子氏のNature論文や博士論文の不正問題は、問題自体よりも関連機関のその後の対応のあり方が、今後の日の学位や科学的研究への国際的信用に影響する可能性が高く、その点がむしろ重要なのだが、これまでの経緯は取り得た幾つかの選択枝の中で最悪に近いコースを進んでいると筆者には思える。その理由を述べたい。 まず最初に研究に不正の疑いがある場合の審査のあり方についてである。筆者が問題にしているのはSTAP細胞の有無についてのNature論文の「実験結果」の再現性に関する検証のあり方である。不正が疑われる実験や分析結果の検証について筆者の知る米国などでの基ルールは、利害関係のない第三者によってされねばならないという原則である。 筆者は過去に米国の2大研究財団である米国国立科学財団(NSF)と米国国立保健研究所(NIH)の特定部門の常任審査員をそれぞれ数年勤

    hmmm
    hmmm 2014/07/24
  • RIETI - 『後続者のいない先行者』日本の情報通信ガラパゴス化の謎: 国際政治経済分析

    2000年台後半まで世界をリードしていた日の携帯産業が、スマートフォンの登場でメーカーもキャリアの独自プラットフォームサービスも一網打尽となりました。その早さは劇的なものでしたが、日の情報通信産業は実は何度も「後続者のいない先行者」の状態を経験してきました。今回のBBLセミナーでは、アメリカの「勝ち組IT産業と欧州の状況と、日のガラパゴス情報通信産業を国際政治経済で分析します。 私の現在の学術研究テーマは、日政治経済です。情報通信、クラウド、ITサービス革命といった研究も行っており、これから"Stanford Silicon Valley New Japan Project"という新たなプロジェクトを立ち上げる予定です。 日のさまざまなタイプの企業やアントプレナーが、どうすればシリコンバレーを活用できるのか。ケーススタディをはじめ、英語・日語での一般向けアウトプットをしてい

  • コラム「Lost in translation? -「イノベーション」受け止め方と国民性」

    どの程度イノベーティブだとイノベーションとみなされるのだろうか。その程度に国による違いはないだろうか。 以下の事例を見ていただきたい。 あるカメラフィルムメーカーが、世界で初めてカメラフィルムの技術を液晶ディスプレイの保護フィルムに使った。製品の省エネ化を進めているあるメーカーが、家庭用大型冷蔵庫の最新機種の年間消費電力量をさらに5%少なくした。あるアンチウィルスソフトウェアの販売会社が新種のコンピュータウィルスに対応するウィルス定義ファイルを配信した。 1の事例についてイノベーションと思う、と答えたのは日人の回答者の34.5%、であったのに対し、米国人の回答者は54.1%、ドイツ人の回答者は46.4%がイノベーションと思う、と回答している。同様に、2の事例については、日14.9%、米32.4%、独30.4%、3の事例については日7.9%、米32.3%、独23.0%となっている。 これは

  • RIETI - 経済における女性の活躍に関する共同セミナー- 内閣府経済社会総合研究所、独立行政法人労働政策研究・研修機構、独立行政法人経済産業研究所 -

    経済における女性の活躍に関する共同セミナー - 内閣府経済社会総合研究所、独立行政法人労働政策研究・研修機構、独立行政法人経済産業研究所 - 「日再興戦略」(平成25年6月14日閣議決定)において、女性の活躍推進が成長戦略の中核とされるなど、経済における女性の活躍への機運が高まっているが、その実現には人材活用の革新、働き方の見直し、性別役割分業の見直し、少子化対策との整合などが不可欠である。このような経済における女性の活躍の推進についてアベノミクスの議論を深めるため、密接に関連する少子化への対応、女性の就業促進およびワークライフバランスの分野における、関係研究所における最近の研究成果を報告しあい、外部有識者を交えてパネルディスカッションを行う。 イベント概要 日時:2014年3月5日(水)13:20 - 16:30(開場13:00) 会場:JA共済ビル カンファレンスホール (東京都千代

  • RIETI - くまモンにみる熊本県のブランド戦略

    2011年3月の九州新幹線全線開業を機に生まれた熊県のゆるキャラ「くまモン」。 昨年は、欧米訪問や紅白歌合戦出演、さらには天皇皇后両陛下の御前でくまモン体操を披露するなど、その人気は衰えを見せない。くまモンの人気の秘密と今後くまモンを活用した熊県のブランド戦略を語る。 くまモンは、2011年3月の九州新幹線全線開業をきっかけに生まれた「くまもとサプライズPRキャラクター」です。新幹線が開通するという100年に1度のビッグチャンスを生かさない手はないと、熊県民180万人がまとまりつつある中で現れたのがくまモンで、ゆるキャラグランプリ2011を獲得すると、東京のマスコミにも取り上げられるようになりました。 くまモンの名前の由来は「熊の者」です。職業はいちおう公務員で、現在「熊県営業部長」と「熊県しあわせ部長」を兼務しています。やんちゃで好奇心いっぱいの性格で、サプライズとハピネスの

    hmmm
    hmmm 2014/03/07
  • RIETI - 良いことを毎日3つ書くと幸せになれるか?

    ペンシルバニア大学のセリグマン教授らが提唱したポジティブ心理学において、人々がどうしたらもっと幸せになれるかの研究が行われている。セリグマンらの研究では、毎晩寝る前に良いことを3つ書くことを1週間継続するだけで、その後半年間にわたって、幸福度が向上し、抑うつ度が低下する(うつの症状が減る)という結果が出た。これが当であれば、我が国においても、学校や職場などでこのエクササイズを教えれば、幸福度向上およびそれに起因するメリットを多数の人々が享受できることになる。そこで、3つの良いことを書くエクササイズの効果を検証することとした。調査会社のモニターから選ばれた1000名の研究協力者をランダムに2つの群に分け、TGT(Three Good Things)群では、週に2回以上、3つ良いことを書いてもらい、統制群には、過去の思い出を3つ書いてもらった。このエクササイズを4週間続けてもらった。 エクサ

  • RIETI - 政府債務の歴史に教えられること

    先々週、国の財政に関する2つのニュースが新聞紙上などを賑わせた。1つは8日に政府より公表された財政健全化に向けた中期の財政政策運営計画、いわゆる中期財政計画についてのニュースである。いまひとつは9日に財務省より公表された債務統計についてのニュースであり、国債をはじめとする国の債務残高(6月末時点)が初めて1000兆円を突破した。 政府債務に関連する最近のニュースを見聞きするうちにその将来を気にしだした読者は少なくないかもしれない。そのような読者が政府の財政再建計画を読むとき、政府債務の過去の動向に見られた特徴について理解を深めておくことは有益かもしれない。 内閣府や財務省など政策現場では実務家が長期の債務データを丹念に収集してきて緻密な分析をおこない、過去の債務動向に見られた特徴をよく理解している。しかしその分析資料は公表されておらず、残念ながら読者はそれを見ることができない(注1)。また

  • 特別コラム「温故知新 技術標準の役割再考:Taylorism and Standardization」

    2012年の末にPC向けの新たなOS:Windows 8が発売された。新年にあたり、PCの買い替えを検討されている方々も多いと思う。技術標準と聞くと、自身には関係がないと感じる方が多いと思われるが、このOSは、最も普及している技術標準であるといえる。あまり意識することはないが技術標準は日常生活の中に深く関係してきており2013年に新たなビジネスプランや科学技術イノベーション政策を考えるにあたり、必ず考慮する必要がある要因になると思われる。加えて技術標準は、多様な役割を来有している。稿では、新春の機会に技術標準の古典的役割を再認識し、新たな政策立案などの一助とするために、ほぼ一世紀前に提唱されたテイラーの科学的管理法を紹介し、考察を加えたい。 技術標準の歴史は、人類の歴史と共にあると言ってよい。その理由の1つは、個人の創意工夫による結果が、標準化されることによって効率化につながるプロセス

    特別コラム「温故知新 技術標準の役割再考:Taylorism and Standardization」
    hmmm
    hmmm 2013/01/10
  • RIETI - JSTAR(くらしと健康の調査)

    コーナーでは、独立行政法人経済産業研究所と国立大学法人一橋大学、国立大学法人東京大学(第2回調査より参加)が協力して実施している、50歳以上の中高齢者を対象としたパネル調査「くらしと健康の調査(Japanese Study of Aging and Retirement, 略称JSTAR)」の情報を掲載しています。詳細な調査結果や、大学・研究機関に所属する研究者を対象とした個票データの研究利用申請に関する情報などをお探しの方は、このコーナーをご覧ください。 【お知らせ】 「第四回くらしと健康の調査(2013年)」データセットの利用申請が可能となりました。(2018年7月) 先進諸国の中で先駆けて高齢化が進展するわが国において、持続可能な社会保障制度を構築するためには、高齢者の実態を多角的に捉えたマイクロデータの存在が政策インフラとして必要不可欠である。すでに、世界各国では高齢者を対象とし

  • コラム「日中関係悪化の経済的な影響をどのように考えたらよいか?」

    世界的な景気下振れリスクが高まる中、日中関係の悪化が経済に与える影響が懸念されている。中国に進出している日系企業は、大手自動車メーカーが当面3~5割の減産を決めるなど急激な生産調整に直面している。9月分貿易統計によると、対中輸出は前年同月比で-14.1%となり、アジア域内の中でもNIEs向け(-7.7%)やASEAN向け(-4.9%)と比べて突出した落ち込みとなった。とりわけ減少の寄与度が顕著であるのは自動車(-2.5)、原動機(-1.6)、自動車部分品(-1.0)、鉄鋼(-1.0)であり、自動車関連の品目が目立つ。こうした影響を受け、9月の鉱工業生産指数は前月比4.1%の減少となった他、7-9月期実質GDPは前年同期比-0.9%(年率-3.5%)となるなど実体経済への影響が危惧されている。 リーマンショック以降、日は輸出が急減する事態が続いている。2008年の世界金融危機による景気後退

  • コラム「最低賃金の引き上げは若年労働者の雇用機会を奪う」

    2007年の最低賃金法の改正以来、地域別最低賃金は上昇を続けている。2005年に668円であった平均最低賃金は2011年には737円に上昇した。おおよそ10%の上昇である。政府は最低賃金を上げることでワーキングプア対策を行おうとしているのだが、最低賃金引き上げによる低技能労働者の雇用への悪影響も心配されている。特に経験が浅く技能が低いと思われる10代の労働者への影響が最も心配されるところである。この懸念の妥当性を検証するため、森悠子氏と筆者は2007年から2010年のデータを用いて、最低賃金引き上げの16-19歳男女の雇用率への影響を分析し、経済産業研究所におけるワークショップ「最低賃金改革」で発表した。 分析の結果、地域別最低賃金を10%引き上げると、16-19歳男女の雇用率は少なくとも5.3%ポイント低下することが明らかになった。16-19歳男女の2006-2010年における平均雇用率

  • RIETI - 企業内研究者のライフサイクル発明生産性

    このノンテクニカルサマリーは、分析結果を踏まえつつ、政策的含意を中心に大胆に記述したもので、DP・PDPの一部分ではありません。分析内容の詳細はDP・PDP文をお読みください。また、ここに述べられている見解は執筆者個人の責任で発表するものであり、所属する組織および(独)経済産業研究所としての見解を示すものではありません。 技術とイノベーションプログラム (第三期:2011~2015年度) 「イノベーション過程とその制度インフラのマイクロデータによる研究」プロジェクト 問題意識 日では修士号を取得して入社した後早期に発明活動を開始し、40代の前半に他の業務に移る場合が多い。このような雇用慣行下では、大学で博士号を取得した後に入社した研究者の場合には、発明の開始時期が遅れ、生涯生産性が低下してしまう可能性が示唆される。また、日では博士号取得者の約半数は就職した後に企業内での研究活動をベー

  • RIETI - 知的財産権保護の負の効果:特殊要因?

    このノンテクニカルサマリーは、分析結果を踏まえつつ、政策的含意を中心に大胆に記述したもので、DP・PDPの一部分ではありません。分析内容の詳細はDP・PDP文をお読みください。また、ここに述べられている見解は執筆者個人の責任で発表するものであり、所属する組織および(独)経済産業研究所としての見解を示すものではありません。 貿易投資プログラム (第三期:2011~2015年度) 「グローバル経済における技術に関する経済分析」プロジェクト 研究は、日アメリカの大規模医薬品企業の世界における供給パターンのデータを用い、それらが各国の知的財産権保護とどういった関係にあるかを明らかにしたものである。図はこれら医薬品企業が各国に供給している医薬品数およびライセンシングにより供給している医薬品数を表しており、その決定要因として知的財産権に着目した。分析では、医薬品の供給にはさまざまな要因が影響す

  • RIETI - 『失われた20年』と日本経済

    「バブル経済」崩壊以降の日の長期停滞に関する従来の研究の多くは、金融の機能不全やデフレの影響を中心に展開されてきた。しかしながら、2000年代に入り、不良債権やバランスシートの毀損、等の問題がほぼ解決した後も、経済成長率はほとんど加速しなかった。「失われた20年」の経験は日の経済停滞を、バブル崩壊やその後の不適切な財政・金融政策がもたらした一過性の問題としてではなく、慢性的な需要不足や生産性の長期低迷など、より長期的・構造的な視点で捉えることを、我々に迫っている。 このBBLセミナーでは、最近出版した『「失われた20年」と日経済』日経済新聞出版社、に基づきながら、このような視点による研究成果を報告する。報告にあたっては特に、どのような企業が生産性上昇や雇用創出に寄与しているか、他の先進諸国と比較して日の何が問題なのか、最近の円高や貿易収支赤字化をどのように理解すべきか、に焦点を当

  • RIETI - 玉田 俊平太

    1997年 通商産業省 産業政策局産業技術課 課長補佐 1999年 筑波大学 先端学際領域研究センター・社会科学系 専任講師 2002年 独立行政法人 経済産業研究所 フェロー 2005年 関西学院大学 専門職大学院経営戦略研究科 准教授 2010年4月~ 関西学院大学 専門職大学院経営戦略研究科 教授 “Significant Difference of Dependence upon Scientific Knowledge Among Different Technologies”, Scientometrics, Jointly published by Akademiai Kiado, Budapest and Springer, Dordrecht, 2006 『日のイノベーションシステム』(第一章)(共著) 東京大学出版会 2006 「特許による知識の移転はどの技術分野で特

    hmmm
    hmmm 2012/07/16
    ちょw
  • コラム「EPAの優先順位:経済効果の大きい貿易相手は?」

    震災後、政治、経済、社会の関心は一変した。菅直人首相が重要課題としてきたTPP参加の判断も先送りされる可能性がある。ただし、国際社会でのEPAを巡る動きは決して止まっていない。日を始め、各国にとって経済効果が大きく優先されるべき地域的な取組み、また、2国間EPAの相手は誰なのか。今一度、冷静に比較検討してみたい。 関税を撤廃し貿易を自由化すると、価格が低下した財の貿易が加速される。輸出国側では、価格競争力が向上した財の輸出、更に、生産が拡大する。他方、輸入国側では、貿易障壁による国内市場の歪みが削減され、生産資源の利用が効率的になる。これらの効果があいまって、各国において生産、所得が増加することになる。 こういった経済効果は、基的には撤廃される関税の規模、価格変化の程度に沿ったものとなろう。言い換えれば、貿易自由化の経済効果がより大きくなるのは、自由化する前の貿易の保護水準がより高い場

  • RIETI - 個人も組織も成長するワークライフバランス

    私には子どもが3人います。長男は自閉症という障害を持って生まれました。学校はトラブル続きで、いじめや不登校の問題もありました。高校3年時には幻聴が始まり、一時は入院させなくてはならないこともありましたが、退院後は一人暮らしを始めています。 は1984年に急性肝炎で入院し、3年間で5回入院しました。1997年には肝硬変とうつ病で3回入院しました。その後、入退院を40回くらい繰り返しています。2000年には自殺未遂をしています。 私は職場の人々に家族の障害と病気の説明をして、家族か病院から電話がかかってきたら、会議中であろうが出張中であろうが必ず連絡をするようお願いしていました。 は翌年にも自殺未遂を2回繰り返します。元来楽天主義の私もさすがに手術室の前で絶望感に包まれました。「この人は今日助かってもまた明日やるかもしれない」、と。長男とが同時期に入院をしていた時期もありました。 毎朝5

    hmmm
    hmmm 2010/11/22
  • RIETI - 3分でわかる開発援助研究

    経済成長を通じた貧困削減における援助の効果、およびその効果を左右する受入国の政策対応、贈与と借款の違い、供与国の援助配分の決定要因など開発援助に関する実証的・理論的研究は、近年、国際的に急速に蓄積されています。理論面においては、ドナーと受入国双方のインセンティブを明示し、援助が効率的に行われるようなメカニズムを設計するというミクロ経済学的な研究手法が標準化しつつあり、実証面においては、クロスカントリーのデータを用いたさまざまな研究が行われています。概要につきましては以下をご覧ください: 開発援助をめぐる経済学者の「知の冒険」(木村秀美) これらの背景を受け、「3分でわかる開発援助研究:オススメの1」のコーナーでは、学術的な専門知識を有しない一般の人向けに、開発援助関連の研究を紹介します。研究の背景となる開発援助・経済発展上の問題、論文の概要、政策的な含意などをまとめ、これらの研究が広く理

  • コラム「イノベーションの観点から最近の特許権侵害訴訟の動向について考える」

    景気低迷の中でも企業の知財活動はいぜん活発である。また特許庁の審査官の増員効果によって、特許権の登録件数も年々増加傾向にあり、平成19年の特許登録件数は約16万件、残存権利総件数は約120万件と世界最高レベルに達している。 これに比べると、実は特許権の侵害訴訟事件(地裁新受件数)はあまり多くなく、最近はどちらかといえば減少傾向にある(表1)。平成19年度は前年度に比べてやや増えたものの、ピークの平成16年度(217件)に比べると、約3割減である。もちろん、3割減といってもたかだか数十件のことだし、そもそも訴訟が少ないからといって特許の活用がなされていないといえるものでもないので、それほど心配することはないのかもしれない。 しかしそれでも、過去10年にわたって、侵害訴訟手続の改善や知的財産高等裁判所の設立など、いわゆるプロパテント政策の実行が進められてきた中での特許権侵害訴訟の減少傾向は少々

    hmmm
    hmmm 2010/03/30
  • コラム「補助金政策の景気刺激効果と経済学のフロンティア」

    今年1月の参議院予算委員会における、菅直人・財務大臣と自民党の林芳正・前経済財政担当相との質疑が注目された。民主党の景気刺激策の効果を巡り、経済学を用いて白熱した議論が展開された。政治の場で経済学に基づく議論がされたことは率直に歓迎したい。ここでは、これを奇貨として、民主党の進める「家計に対する補助金政策」の効果について、経済学の研究動向を踏まえて論じたい。 家計に対する補助金政策とは、「定額給付金」や「子ども手当」のように政府から家計に現金を支給する政策である。教科書的なケインズ経済学に基づけば、こうした補助金政策には、家計消費を増加させ、景気を刺激する効果がある。 支給された補助金のうち「消費される部分の割合」を示すのが「消費性向」であり、最終的な結果として増加したGDPと支給された補助金との比率が「乗数」である。補助金を支給すれば7割程度は消費される、つまり消費性向は0.7程度である