鳩山首相がおそろしく不用意な発言をした。鳩山は26日夜の記者会見で「国交がないから、教科内容を調べようがない。国交のある国を優先するのは無理のない話だ」と話していたが(時事ドットコム、2月26日付)、これは重大な発言である。高校「無償化」から朝鮮学校が排除される理由が「国交がないから、教科内容を調べようがない」ことなら、同じく「国交がない」中華民国系の中華学校も、同様に排除されることになるからだ。だが、断言してもよいが、この鳩山発言は早晩修正されるだろう。「国交がない」ことで外国人学校を区切ってしまっては大学入学資格の排除基準と齟齬が生じることになり、文科省から注文がつくことは必至だからである。早ければ明日27日にでも修正するかもしれない。修正後の排除基準はすでに文科省内で検討されている伝えられている「授業内容と本国の教育課程が日本の学習指導要領におおむね合致していると確認できること」に近
『産経』が再び「【主張】高校無償化 朝鮮学校の説明は不十分」で朝鮮学校を排除せよと絶叫している。内容を要約する必要は無いだろう。『産経』の主張の要点は、①政府に朝鮮学校の教育内容精査を要求していること、②その際、教育内容が新教育基本法(「我が国と郷土を愛する」)に合致するかどうかをチェックすることの二つに絞られる。 ①について、「単なるカリキュラムの調査だけでなく、同胞教育の中身の精査が必要である」と息まいていることからも、他の報道機関とは異なり、教育「課程」と教育「内容」の違いを十分に『産経』がわかった上で、意識的に教育「内容」の調査へと政府を踏み込ませようとしていることがわかる。『朝日』的擁護論(必ずしも『朝日』だけではない)は教育「内容」の変化をもって、朝鮮学校を高校「無償化」から排除するなと言っているわけだから、恐るべきことに現在のマスメディアのレベルでは①についてはほぼ反対意見は
国庫からの就学支援金助成を内容とする、いわゆる高校「無償化」法案が1月29日に閣議決定されたが、この法案では各種学校も助成の対象に含まれているため、すかさず『産経新聞』が騒ぎ始めた。各種学校には朝鮮学校も入っていることを問題にしているのである。しかもいかにも『産経』らしい姑息なやり口で。 とりわけ『産経』2月11日付web版の「北、朝鮮学校に460億円送金 昨年も2億…高校無償化に影響」という記事は度を越している。この記事は「北朝鮮が過去半世紀以上にわたり、在日朝鮮人に民族教育を行う各種学校「朝鮮学校」に対して総計約460億円の資金提供を実施し、昨年も約2億円の「教育援助金」を送金していたことが10日、明らかになった」(太字は引用者、以下同じ)という驚きの一節から始まる。 さて、「明らかになった」とは、どういうことだろうか。この文章前段のどの部分にかかっているのだろうか。そもそも朝鮮総連は
在日朝鮮人をめぐる現代日本の擬似対立の構図が見事に出揃った観がある。『朝日新聞』2月24日付社説「高校無償化―朝鮮学校除外はおかしい」の論法はこのブログで引き続き批判してきた『朝日』的擁護論の問題を反復したものとなっている。私は以前の記事で、『産経』的批判論に対し、「他のメディアは傍観するか、お茶を濁すだけだろう。せいぜい「最近は韓国籍の人も通っている」とか「朝鮮学校も変わっている」云々というだけ」と推測も込めて記したが(「『産経新聞』は何を「明らかに」したのか――朝鮮学校と高校「無償化」問題」参照)、その通りになった。 タイトルからわかるように『朝日』社説の趣旨は、高校「無償化」から朝鮮学校を除外することに対する批判である。朝鮮学校を除外するために『産経』及び中井拉致相が持ち出した論拠に疑問を呈している。問題はその論法である。 「北朝鮮という国家に日本が厳しい姿勢をとり、必要な外交圧力を
朝鮮学校の高校「無償化」をめぐって、排除派からの突き上げをうけて文科省内では「授業内容と本国の教育課程が日本の学習指導要領におおむね合致していると確認できること」を「無償化」の条件とする案が浮上しているとのことである。 この問題をめぐっては複数のメディアが似たような内容の報道をしているが、文科省の朝鮮学校処遇をめぐる最低限の事実経過が抑えられておらず、しかも非常に不正確な表現が使われているため、これが新たな問題を引き起こしかねない。以下に文科省の論法の背景と教育「内容」のチェックという言葉の問題点について指摘しておきたい。 まず今回の排除派からの突き上げに伴い、文科省内で「授業内容と本国の教育課程が日本の学習指導要領におおむね合致していると確認できること」が排除の条件として検討されているというものだが、仮に事実とすれば、これは文科省が2003年に外国人学校に対する大学入学資格の「弾力化」を
1. 久しぶりに爆笑させてもらった。以下の文章である。 「【佐藤優の眼光紙背】外国人地方参政権と高校無償化問題」 http://news.livedoor.com/article/detail/4624878/ 佐藤はここで、外国人地方参政権への反対、朝鮮学校を高校実質無償化の対象にすることへの賛成を述べている。「右」と「左」の主張を同時に打ち出し、ハッタリ的に一般論を述べることで正当化し、それを教養俗物が好きそうな用語や引用で補強するという手法自体は、いつものワンパターンだが、今回の「高校の実質的無償化に関しては、朝鮮高校を含めるべき」という主張は、よく言うよ、と呆れさせられたのだが、大変興味深いものである。 これが興味深いのは、もちろん、主張それ自体ではない。そうではなくて、かつてはこれと180度異なる主張を精力的に訴えていた佐藤が、なぜこのような主張をするに至ったかが興味深いのである
1. 民主党政権内で、4月からの「就学支援金」支給対象から朝鮮学校を外そうという動きが活発化している。第一報を聞いたのが、「イデオロギーの終焉(上)」で、安倍政権と鳩山政権の連続性を指摘した直後だっただけに、その符合に驚いた。 今回の差別措置案については、kscykscy氏がブログ「日朝国交「正常化」と植民地支配責任」で明快かつ明晰に論じておられるので、未読の方はそちらを是非ご参照いただきたい。 「「公的確認」の論理と教育「内容」の問題――朝鮮学校と高校「無償化」問題②」 http://kscykscy.exblog.jp/12886916/ それにしても、下の産経の社説を読むと、その余りのご都合主義とむき出しの排外主義ぶりにうんざりさせられる。 「【主張】朝鮮学校 無償化除外へ知恵を絞れ」 http://sankei.jp.msn.com/life/education/100223/ed
高校無償化 格差解消の本質を見失うな(3月5日付・読売社説) 高校の授業料無償化法案の本格審議が、5日から衆院文部科学委員会で始まる。限られた財源で教育格差をどう解消していくか。それが本質ということを見失ってはならない。 政府案では、公立高校生の授業料を無償化し、私立高校生には公立の授業料と同額を支給する。私立の低所得層には1・5〜2倍にするが、概算要求時より増額対象とする世帯の年収額を引き下げたため、対象者はかなり減った。 予算案は衆院を通過したが、財政事情の厳しい中、所得制限を設けていれば、もっと低所得層支援や公私間格差の解消に回せる財源を捻出(ねんしゅつ)できたのではないか。 高校生の約3割は私立に通う。その負担を減らすため、文部科学省が総務省に要望していた地方交付税措置は5分の1になった。 私立に限らず、入学金や教科書代を援助する低所得層への給付型奨学金も、概算要求で計上した120
朝鮮学校の授業料無償化問題をめぐり、衆院文部科学委員会と社民党が東京都内の朝鮮学校を視察した。 その結果、各教室に故金日成主席・金正日総書記父子の肖像画が掲げられるなど、同校の同胞教育の一端が明らかになった。北朝鮮では、金主席は「首領さま」、金総書記は「将軍さま」と呼ばれている。独裁者への個人崇拝教育が、日本国内でも行われている。 とりわけ、金総書記は韓国閣僚を襲ったラングーン爆弾テロ(1983年)や、乗客・乗員115人が犠牲になった大韓航空機爆破事件(1987年)を計画したとされ、日本人拉致事件にも深くかかわっている疑いが強い。 拉致された日本人のことを考えると、国家テロを主導する独裁者を神聖視する教育は国民感情として受け入れられない。 また、朝鮮学校の統廃合問題をめぐり、今年1月、「統廃合は敗北主義である」との金総書記の指示が朝鮮総連を通じて伝えられ、統廃合の動きが停止したことも本紙の
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