北海道の十勝地方は、エネルギーの一大供給基地となる可能性を秘めている。現地で盛んな酪農から出る乳牛のふん尿が国産エネルギーとなり、脱炭素に貢献するからだ。悪臭を放つため厄介者とされてきたふん尿だが、エネルギー革命を起こそうとしている。(編集委員・松木喬) バイオメタンを燃料に エア・ウォーターが液化 十勝地方の南部、大樹町に北海道の中でも大規模なサンエイ牧場がある。約2500頭の乳牛が飼育されており、牛舎は奥が見えないほど広い。 ふん尿の排出量も多い。重機でふん尿を集め、地下ピットで保管。順次、地上にある発酵槽に送る。発酵槽内部ではふん尿に生息する菌の働きで発酵が進み、バイオガスが発生している。 そのバイオガスの成分はメタンと二酸化炭素(CO2)が大部分で、少量の硫化水素が含まれる。サンエイ牧場では硫化水素を取り除いた「バイオガス」を発電やボイラの燃料に使っている。発酵後のふん尿は肥料とし
