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ブックマーク / note.com/bookshop_551 (7)

  • レティシア書房店長日誌|レティシア書房

    イリナ・グレゴリ「優しい地獄」 はじめに著者のことを紹介します。1984年社会主義政権下のルーマニアに生まれます。民話の世界そのもののような祖父母の住む村で暮らし、高校生のときにルーマニア語版の川端康成の「雪国」の感動したり、ルーマニアで公演中の中村勘三郎の歌舞伎などに魅了され、2006年日に留学しました。翌年、獅子舞の調査を専門分野としてスタートさせ、一時帰国後、2009年に国費留学生として再来日し、弘前大学大学院修士課程修了後、東京大学大学院博士課程に入学。現在は人類学者として弘前に在住で、主な研究テーマは北東北の獅子舞、ジェンダーに関する映像人類学的研究。 書は、子ども時代から日に住みここで過ごす時間を、順序立てることなく、行ったり来たりしながら展開していきます。(新刊1980円) 子ども時代は田舎で祖父祖母と暮らし、森や農地での生活が原風景となって、どこにいてもそこに心が帰っ

    レティシア書房店長日誌|レティシア書房
    ishiduca
    ishiduca 2024/08/24
    イリナ・グレゴリ「優しい地獄」/社会主義とは、宗教とアートと尊厳を社会から抜き取ったとき、人間の身体がどうやって生きていくのか、という実験だったとしか思えない。高校生になったある日、急に話せなく...
  • レティシア書房店長日誌|レティシア書房

    岡真理・小山哲・藤原辰史「中学生から知りたい パレスチナのこと」 現代アラブ文学専門家の岡真理、西洋史特にポーランド史が専門の小山哲、そして現代史特にと農が専門の藤原辰史の三人が、今のパレスチナをめぐる問題の質を語った好著です。(ミシマ社・新刊1980円) 「私たちの歴史的無知や忘却につけこんで、ガザのジェノサイド、そしてパレスチナの民族浄化を、宗教対立や土地争い、あるいは『イスラームのテロ組織』対イスラエルの『自衛』の戦争に還元しようとする言説に抗して、私たちは問題の根源をしっかりと見据えなければならない。そのために私たちが今、必要としているのは、私たちの知をかたちづくってきた西洋中心主義的で、かつ地域ごとに分断された歴史に代わる新しい世界史、近代五百年の歴史を通してグローバルに形成された『歴史の地脈』によって、私たちが生きるこの現代世界を理解するための『グローバル・ヒストリー』であ

    レティシア書房店長日誌|レティシア書房
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    ishiduca 2024/08/17
    岡真理・小山哲・藤原辰史「中学生から知りたい パレスチナのこと」
  • レティシア書房店長日誌|レティシア書房

    リラ・アビレス監督「夏の終わりに願うこと」 7歳の少女が大好きな父親との永遠の別れを経て、彼のいない世界で生きて行く、その瞬間を見事に描いた作品です。(メキシコ映画) 主人公はソル。父親のトナは祖父の家で病気療養中です。父親を励ますために、おそらくこれが最後(と皆が思っている)の父の誕生日に、親戚や友人たちが祖父の家に集まってパーティを開きます。映画はその一日を捉えます。 ソルは、パパに会える?と伯母たちに聞いて回るのですが、夜のパーティーに出るために今は休んでいると言われるばかりで、なかなか父に会えません。なんだか、おかしい...….。ソルはトナの病状が良くなくて、死んでしまうのかも、と感じ出します。 トナの姉が、霊媒師を家に招き入れて悪霊を払おうとしたり、あるいはトナの治療費のことで兄妹がケンカをしたり、家の空気がざわついています。その様子が、まるでホームビデオを見ているように、大きな

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    ishiduca 2024/08/17
    リラ・アビレス監督「夏の終わりに願うこと」
  • レティシア書房店長日誌|レティシア書房

    ジョセフィン・デッカー監督「シャーリイ」 スティーブン・キングの「シャイニング」に影響を与えたと言われる、アメリカンゴシック小説の女性作家シャーリイ・ジャクソン。 とある古市で、彼女の「鳥の巣」が高額で出品されていたのを覚えていますが、実際に読んだことはありません。1916年サンフランシスコに生まれ、48年「ニューヨーカー誌」に、短編「くじ」を発表してセンセーションを巻き起こします。59年ゴーストストーリーの古典ともいわれる「丘の屋敷」を発表。キングが激賞したことで広く知られるようになりました。 この映画は、彼女の伝記小説に斬新な解釈を加えて映像化されました。文学を学ぶローズは、夫のフレッドがシャーリイの夫である大学教授ハイマンの補佐の職を得て、夫婦でハイマン家に居候することになります。気性が激しく言動が不気味でさえあるシャーリイに、最初は一歩引いていたローズでしたが、その魔女的な魅力に

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    ishiduca
    ishiduca 2024/07/12
    映画「シャーリー」評
  • レティシア書房店長日誌|レティシア書房

    辻山良雄「しぶとい十人の屋」 このは、書店Titleの店主辻山良雄さんが、スタジオジブリが発行しているミニプレス「熱風」に約一年間にわたって連載されていたものを一冊にまとめたものです。連載時は「日の『地の塩』をめぐる旅」というタイトルでした。私は「熱風」を年間購読しているのですが、真っ先にこの連載を読んでいました。 「その街に暮らす人々にとって、なくてはならない書店。訪れる人に、生きる力という『塩気』を与える書店。そこで働く人々は今、何を思い、考えながら店頭に立っているのでしょうか。これは、そんな『地の塩』と言える屋さんと、その周縁の人々をめぐる旅の記録です。」(「熱風」より) 辻山さんの真面目な人柄と、書店主としての探求力が遺憾無く発揮された連載でした。こうして一冊のになって読み返すと、著者が真摯に屋の仕事に向かう姿がはっきりと見えてきます。(新刊2310円) 親しくさせても

    レティシア書房店長日誌|レティシア書房
    ishiduca
    ishiduca 2024/06/15
    最近よく話題になる独立系書店とミニプレスについて語られる。昔は、個人書店が新刊を常時入れるのは、業界にある独特の流通慣習に阻まれて困難でした。が、落合恵子氏が主催する「子どもの文化普及協会」が登場して
  • レティシア書房店長日誌|レティシア書房

    スザンヌ・ベガ✖️カーソン・マッカラーズ スザンヌ・ベガは、1959年サンタモニカ生まれのシンガーソングライターです。9歳の時に詩を書き始め、14歳で作詞を始めます。コロンビア大学で英文学を学ぶ傍ら小さな劇場で歌い、1984年大手レコード会社と契約。翌85年に「街角の詩」を発表して、自分を内省的に見つめる歌で一躍注目を浴びました。その後も何枚もアルバムを発表して、シンガーソングライターとして揺るぎないポジションを獲得しました。 2011年に、女流作家カーソン・マッカラーズの生涯をテーマにオフ・ブロードウェイでおこなわれた舞台『Carson McCullers Talks About Love』で、カーソン役を演じます。2016年、この舞台をきっかけに生まれたアルバムをリリースしました。それが「ラブァー、ビラウド」(国内盤CD中古1600円)です。 スザンヌは10代の頃にマッカラーズの短編を

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    ishiduca 2024/05/17
    スザンヌ・ベガ✖️カーソン・マッカラーズ
  • レティシア書房店長日誌|レティシア書房

    バス・ドゥヴォス監督「ゴースト・トロピック」 ベルギーの大都会ブリュッセルで、大きなビルの清掃婦をしているハディージャは、仕事に疲れて帰路の最終電車で眠ってしまい、終点まで行ってしまう。タクシーで帰ろうにも、手持ちのお金がない。仕方なく、彼女は家まで歩くことを決める。 映画は、そんな彼女の一晩を描きます。特にドラマチックな事件や、夜の都会の危機が迫るわけではありませんが、予期せぬ人たちとの出会いなどを通して、小さな旅路が、遠回りになってゆきます。 村上春樹だったか、吉田篤弘だったか、安西水丸だったか、それとも片岡義男だったかの小説で、「私は一晩歩くことにする」という主人公が大都会の夜をさまよう短編小説を読んだ記憶がありますが、そんな世界がこの映画にはありました。 観ている最中に、あれ、どこかで感じた何か懐かしい感覚、気分が出てきました。大学時代、8mm映画を作るサークルにいた時に、撮影して

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