ブリュッセルの移民社会を背景にした「ゴースト・トロピック」(2019年)、「Here」(23年)の2本が日本初公開中のバス・ドゥボス監督。ベルリン国際映画祭やカンヌ国際映画祭で喝采を浴びるなど世界の映画界でも一作ごとに熱い注目を集めている。まさに、映画好きにとって注目度急上昇中の映画作家である、次代を担うであろうバス・ドゥボス監督が、自身の映画作りの考え方、物語や映像へのこだわりをたっぷりと語った。 多人種、多国籍の都市ブリュッセル2作とも「ヨーロッパの縮図、交差点」と呼ばれるブリュッセルの話である。「格別で特異な場所。移民も含めさまざまな人種、国籍の人が暮らす最も多様な都市だ。映画を作るうえで舞台になるのは必然だった」。ドゥボス監督も住んでいる。「特に面白い場所にしているのは言語。最初のコミュニケーションが『あなたは私の言語が理解できますか』から始まることが多々ある。そんなところはあまり