お盆は仏さんを供養するのに加えて漁師にとっては特別な意味があってな。お盆の最後の日、十六日は魚を供養する日なんよ。いつも魚を捕って売ってしめて食べよるけん、この日は船に残っとる魚がおったらカレイでもウニでもアワビでも伊勢エビでも生きとるもんは全部逃がす。なるべく十六日までに売ったり人にあげたり食べたりはするんよ。ほんで、その十六日だけは魚を食べんと、お精進料理を食べる。一年にいっぺんだけの魚を食べん日よ。 そして、浜で盆踊りを踊って、仏さんと魚を供養して送り出すんよ。盆踊りをする浜は漁師ばかりが住んどる「下浜」という部落にあるんやけど、魚を供養するためにここでずっと歌い継がれてきた唄があるんよ。「下浜」に限らん、農家の人が集まる近くの部落の盆踊りでもちゃんと作物を供養する唄があるらしいわい。たぶん、日本全国、ところところに仏さんや生き物を供養するような唄はもともとはあるんやない。ただ下浜も