合同墓の中にある礼拝堂。天窓からインド風の特徴ある本堂の屋根が望める(東京都中央区・築地本願寺) 先立たれた一人息子の遺骨を金色の阿弥陀如来像の前にそっと置いた。礼拝堂に念仏が響く。「これで心配が一つ、なくなりました」。今月24日、東京都中央区の二宮英温さん(82)は、近所にある築地本願寺の合同墓に長男竜太さんの遺骨を納め、顔を緩めた。いずれは二宮さんと妻きよ子さん(86)もこの墓に入る。 竜太さんは静岡県富士市の病院の勤務医だったが、21年前に交通事故で亡くなり、遺骨は富士市の墓に納められた。 二宮さんは、年を重ねて心配が募った。いずれ歩けなくなって墓参りに行けなくなる。夫婦が亡くなったら墓は無縁になる。それならば海が好きだった竜太さんの遺骨を駿河湾に散骨し、自分たちの遺骨も同じ場所にまいてもらいたい、と考えた。 昨年7月、現在の介護付き老人ホームに引っ越し、工事中だった合同墓のことを知