(科学ジャーナリスト:添田 孝史) 30年前の阪神・淡路大震災で、神戸市の中心部は震度7に襲われた。研究者は震災の21年前に活断層による大地震を警告して報告書を神戸市に送っていたが、神戸市は聞き入れず、震度5強しか想定しなかった。それは住宅や水道の耐震化など備えの不十分さにつながり、多くの死者を生じさせた。 2024年1月の能登半島地震も事情が似ている。研究者は14年前に震源の活断層を見つけていた*1が、石川県は地震の研究がどんどん進んでいたのに27年前に策定した被害想定を見直ししておらず、それが被害の拡大につながった可能性がある。 地震の最新の研究成果を、地元の行政が防災に生かさない。その失敗はなぜ繰り返されたのだろうか。 *1 産総研TODAY 2010.09 なぜ揺れの想定を見直さなかったのか 2024年1月1日に発生した能登半島地震(M7.6)で、石川県では死者408人、全壊605