節足動物など、青い血を持つ生き物もいる。だが、人間の血液は赤いに決まっている。とりわけ動脈血は鮮やかな赤である。ところが、カナダ・バンクーバーのセントポール病院の医師たちは、深夜の緊急オペの直前、患者の動脈血を見て愕然とした。 The Lancet”の最新号に、本件の詳細を述べる論文が収録されている。 セントポール病院のアラーナ・フレクスマン医師と彼女の同僚らが緑色の血液を持つ患者と遭遇したのは、2005年10月の深夜のことだった。患者は42歳の男性で、ひざまずいた姿勢で眠った後、両脚の筋組織の内圧が異常に上昇する症状を呈して搬送されてきた。コンパートメント症候群と診断された。 内圧を下げる処置を取らずに放置すると、神経系統に回復不能な損傷が及ぶ危険があった。そこで、緊急手術が行われることになった。麻酔研修医のフレクスマン医師は、動脈ラインの挿入と管理を担当することになった。 動脈ラインは