古代の中国の子どもが習ったという「三字経」。その儒教の教えの中に、君臣の義(ぎ)、父子の親(しん)、夫婦の順(じゅん)という三網(さんこう)が出てきます。この三つの人間関係が調和していれば、幸せな人生を送ることができると説かれていますが、それは現代にもあてはまるでしょう。 今回は、古代の君子が賢い嫁と「夫婦の順」を築いた物語をご紹介します。 三国時代、魏(ぎ)という国に、許允(きょいん)という将軍がいました。徳の高い人物として知られていましたが、夫婦関係に関しては、危うく評判を落としそうになったことがあります。 許允は青年の頃、親の勧めに従って、阮氏(げんし)という女性と婚姻の義を取り交わしました。婚礼の時、期待に胸を膨らませて、そっと新妻の顔を覆っていたベールを上げました。すると、地味で不細工な顔の阮氏(げんし)が、じっと彼を見つめていました。落胆した彼は妻の寝室へ入ることを拒み、婚姻の