昨年の11月3日、私は、「内閣法制局の憲法解釈が時代の変遷により変わってきたという事実はあるのか?」と題した論説において、日本国憲法66条2項のいわゆる「文民条項」についての解釈が変更された実例にもとづいて、「だから」集団的自衛権の行使についての憲法解釈も変更して良いのだと主張せんばかりの産経新聞の報道を取り上げ、文民条項の解釈変更は「戦後日本の憲政にとってトリビアルな例外的エピソード」であり、「集団的自衛権の解釈変更は可能であると主張するうえでの説得的な論拠(産経新聞の表現を用いるならば「憲法解釈変更への布石」)にはなりえない」と批判した。その際、その理由の一つとして、集団的自衛権についての日本政府の解釈が「半世紀以上維持されてきた解釈」であるという事実を重視すべきであることも指摘しておいた。 ところが最近、集団的自衛権についての日本政府の解釈は過去に変更されたことがあるとする主張が少し