これまでの分 その1 その2 その3 その4 その5 その6 その7 その8 本文 ドアの閉じる音が聞こえた瞬間、私はびくっと体を震わせて、目を覚ましました。 (いかん、またトイレで眠ってしまった) 2008年の夏、セキゼキさん(仮名)の病気が悪化した影響で、私の睡眠時間は極端に削られていました。 仕事中、どれほど忙しく手を動かしている時でも、意識を失いかねないほど眠くなる時があり、大抵は目を覚ますためにトイレに行ってそのままそこで寝てしまう、という事態がしょっちゅう起こるようになっていました。 当然、トイレでそれほど寛いだ睡眠ができるわけはなく、二、三分で目は覚めちゃうんですが、それでもトイレで寝ていることが同僚にばれたらどうしよう、と私は毎日怯えていました。 (セキゼキさんが調子が悪い日は、会社を休んで付き添ったりもしてるから、ただでさえFさんに嫌われてるもんね……) 私は手を洗いなが