大阪市立桜宮高バスケットボール部主将が体罰を受けた後に自殺した事件に始まり、女子柔道選手への暴力やパワーハラスメントも発覚し、日本のスポーツ界が揺れている。自ら取材、執筆を手がける責任編集の為末大(34)が「スポーツと教育」をテーマに、その問題点に切り込んだ。<1>人間に限界はない 勝負どころはもっと頑張れという根性論がスポーツにはいまだに根強くある。戦略というのはすべてに限界があり、それをどう分配すれば最も効果が高まるかというのを考えるところから生まれる。時間にも限界があり、モチベーションにも限界がある。 今回、女子柔道が五輪前のすべての試合に選手を出していたというのも、この「モチベーションに限界はない」とする考えに基づくのだと思う。五輪が第1目標なら、そのために勝たなくてもいい試合を作ったり、欠場するべき試合もあるはずだ。何でも気持ちで解決しようとするチームで育った選手は「頑張ります、