責任を追及しない日本社会 國分:白井君が『国体論――菊と星条旗』を書いたいくつかの出発点のひとつは、なぜ安倍政権は潰れないのかという素朴な疑問だと思います。安倍政権はひどい政策をずっと続けているのに、なぜか長きにわたって政権を維持している。ここには合理的には説明のつかない力が働いており、私たちはそれに従わされている。白井君はそこに「国体」という構造を見いだしているのだと思います。 この国体を代表するのは、戦前の日本では天皇です。しかし、敗戦と占領期を経て、アメリカが国体を代表するようになる。『国体論』ではフルモデルチェンジという言い方がされていますが、日本がアメリカに負けたことで、国体の頂点は菊から星条旗に変わったものの、人々が国体に従うという構造に変化はなかった。そう指摘しているわけですね。 白井:そうです。「戦後の国体」となった対米従属構造を維持することで、権力を保持しているのが安倍政