「馬鹿に付ける薬はない」ということわざがある。思慮が足らず物事の道理が分からない人は救いようがないとの意味だが、「システム障害は絶対に起こしてはならぬ」と声高に叫ぶような“馬鹿”に付ける薬はないものだろうか。もしそうだとすると本当に困る。この手の主張は、言っている本人が救いようのないだけでは済まされない。こんな論がまかり通っていると、多くの人を不幸にし続けるので、ぜひとも完治させる薬が欲しい。 「システム障害は絶対に起こしてはならぬ」という愚論が厄介なのは、一見すると至極当然のように思えるからだ。「交通事故は絶対に起こしてはならぬ」と全く同様の文章構造だし、交通事故は誰がどう考えても、絶対に起こしてはならないことだ。企業や社会の重要インフラであるシステムの障害についても、交通事故と同様に絶対に起こしてはならないと考えるのは自然のことのように思える。 だが、よく考えてほしい。重要な社会インフ