異端の肖像2006「怒り」なき時代に 弁護士安田好弘(58) 「弁護士としての資質、人間としてのモラルに失望した」。読者から一枚のファクスが届いた。 この読者一人にとどまらない。テレビのワイドショーで、ネット上で非難があふれ返った。 安田好弘。いま、日本で最も物議を醸している弁護士だ。かつてオウム真理教元代表・麻 原彰晃被告=本名・松本智津夫=の主任弁護人を務め、先月、山口県母子殺害事件の 上告審でも弁護人を務めた。 「悪人は早く吊(つる)せ」という世間感情、タレント弁護士が登場するお茶の間のにぎわい に彼は背を向ける。 非難のきっかけはこの上告審だった。三月十四日、最高裁の口頭弁 論を安田は相方の弁護士とともに欠席した。 最高裁、検察、遺族は憤った。最高裁は昨年導入された改正刑事訴訟法に基づき、四月 十八日の弁論への出頭在廷命令を初適用。欠席すれば、解任は避けられない