私が物心ついたとき、マイケルは既に大スターだった。生意気な中学生は、そんな「大スターのポップソング」なんか聴きたくないものだ。「スリラー」がアホのように売れていた時も、そんなもん誰が聴くかと突っ張っていた。 昨年、「Thriller 25周年 Limited Edition」というアルバムが出たので、25年の時を経て聴いてみた。驚くことに、すべての収録曲を私は鼻歌でうたえたのである。聴かないぞ、と思っていてもしっかりと曲は浴びており、25年後にも憶えていたわけだ。 スキャンダルの印象ばかりが最近は目についていた。私の母も死去のニュースを聞いて「ああ、あのキモチワルイ人ね」、なんて言う。人生の最後にこんな認識のされ方とは、なんともやりきれない。彼を「金のなる木」としか見ていなかった取り巻き連中が悪すぎた、とかいろいろ言われているけれども、どこかで人生の選択をやり直すと、もっと幸せな音楽人生が