臨床心理学の認知療法の理論によって、気分障害(うつ病等気分の変調を主症状とする病態)の抑うつ感の生起を説明する場合に必要不可欠になってくる図式は、『外界の事象→認知(思考)→感情・気分→行動』という行動メカニズムの図式です。 この図式が成立した歴史を遡ると、論理療法の創始者として著明なアルバート・エリス(Albert Ellis)のREBT(Rational Emotive Behavior Therapy:理性感情行動療法・論理情動療法)の『ABC理論』に辿り着きます。 アルバート・エリスのABC理論は、認知療法の基本的な考え方の図式である『外界の事象→認知(思考)→感情・気分→行動』と一致するもので、人間の感情や行動は、現実世界の事実や出来事によって直接惹き起こされるのではなく、その出来事をどのように受け止めるのかという認知や信念によって導かれると考えました。 ABC理論のA,B,Cは