■ドイツ ドイツ政府は2022年までに国内17基の原子力発電所をすべて廃止する方針を決めた。「フクシマ」の事故のショックが後押ししたことは否めない。脱原発の動きはイタリアやスイスへも広がっている。メルケル首相の決断の背景と思惑を探る。 「メルケリズム」の勝利--。ドイツの連立与党が22年までの原発全廃で合意した5月30日、ドイツの有力週刊誌シュピーゲル(電子版)はこのように報じた。 福島第1原発の事故後、欧米主要国の中でいち早く「脱原発」を決めたドイツでは、メルケル首相の政治手法を意味するメルケリズム(メルケル主義)という言葉が頻繁にメディアに登場している。 識者やジャーナリストがさまざまな定義を試みているが、大ざっぱに言ってしまえば、大衆が望むことに、自らを合わせていく姿勢、というようなスタイルだ。首相は今回も、ドイツ国民の間に渦巻く原発への不安を素早く政策決定に反映させた。英仏など北大