6月末に起こったファーストサーバのデータ消失事件は、クラウド普及に大きな冷や水をい浴びせる形となった。ここでは、事件が業界に与える影響と今後なにが必要になるのかを考えていきたい。 顧客データの消失と大きな規模が致命的 6月20日に発生したファーストサーバ事件の概要は、すでに3本のニュース記事でお伝えしたとおりだ。障害の原因は、サーバーの脆弱性対策を行なう更新プログラムに不備があり、検証環境で不備を検知できず、本番環境でも範囲外のサーバーまですべてのデータを削除してしまったことにある。また、脆弱性対策をバックアップサーバーにおいても同時に行なう仕様になっていたため、本番と同じくバックアップも削除。複数のプログラムミスや運用体制の不備が重なり、未曾有の障害につながっていったのだ。 今回のファーストサーバの事件で、もっとも致命的だったのは、取り戻しのできないデータの消失で、しかも大規模だった点だ