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ブックマーク / pata.air-nifty.com (8)

  • 『反ユダヤ主義を美術で読む』 - pata

    『反ユダヤ主義を美術で読む』秦剛平、青土社 あとがきで秦剛平さんが書いているのですが、これまで、日の研究者たちは最初の教会史家エウセビオス、最大の神学者アウグスティヌス、プロテスタントのルターたちに関する通り一遍の研究は行っていたとは思いますが、その暗黒面ともいうべき反ユダヤ主義を正面から論じてきていないと思います。 そうなると、ただでさえ西洋のテキストをやっているのにキリスト教に関する無知が蔓延っている人文系の研究者たちは、ヨーロッパの文明に横たわる反ユダヤ主義の長さ、暗さ、苛烈さを十分理解できないまま、上っ面をなでるような仕事を進める、という結果になるのかもしれません。 あるいは、西洋の反ユダヤ主義の歴史は、風習の違いを嫌悪する自然発生的な感情を、「神学」で補強してきた過程なのかもしれません。もちろん、補強されれば補強されるほど、その弾圧は陰惨になっていきます。 秦先生のは行き当た

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  • 『世界』小沢論文について - pata

  • 『日本中世に何が起きたか』 - pata

    『日中世に何が起きたか 都市と宗教と資主義』網野善彦、洋泉社 網野善彦さんがお亡くなりになってもう3年もたつのですが、まったく、いなくなってしまった、という感じがしません。 どんどん未刊行の対談、小論が出たり、手に入りにくかった単行の新書化などが行われていて、ぼくなどはご存命の頃よりも、よほど網野さんの問題意識を感じながらモノゴトを見ている気がします。同じようにクレイジーキャッツの植木等さんも、先日お亡くなりにはなりましたけど、必要な時はいつでも、心の中で歌って踊ってくれるので、生前と変わりはないような気がします。そろそろ、ぼくが好きだった人たちが、お亡くなりになっていくことが多くなってきて、こうした問題も考えさせられるのですが、結局、ずっと心の中にいるということが社会的には生きている、あるいはその人よって生かされてされていることなんだろうなと観じている次第です。 さて、このは日

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  •  『新左翼の遺産』 - pata

    『新左翼の遺産 ニューレフトからポストモダンへ』大嶽秀夫、東京大学出版会 新左翼もポストモダンも、どちらも魅力的な題材ではなくなってきているのに、ニューレフトがポストモダンを用意したみたいに云われても「ああ、そうですか」で終わってしまう気はするけど、何事も研究対象にはなるわけだし、60年安保世代は生物学的生命を終えつつあり、70年安保世代は社会的ステージから降りつつあるという中で、もう一度、日独特の左翼のスタイルを考えるのは悪くないと思います。そういった意味からも、第8章「イギリスとフランスにおける新左翼」と結章「国際比較と国際的影響からみた日の新左翼」はあまり意味がないというか、なぞっているだけなので、先行研究の紹介だけにとどめた方が研究書としてはよかったんじゃないかと。 ただ、この指摘は個人的には新鮮でした。 《ただし新左翼は、「反権威主義的参加」を実践的主張としてもっていた。大学

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  • 『カトリシスムとは何か』 - pata

    『カトリシスムとは何か キリスト教の歴史をとおして』イヴ・ブリュレ著、加藤隆 (訳) 、白水社 前著の『『新約聖書』の「たとえ」を解く』でもチラッと書きましたが、加藤先生のキリスト教関連のというのはどれも抹香臭くなく、知的好奇心も満足させてもらえる良書揃いです。当たりはずれがありません。ということでクセジュ文庫に新しく納められた『カトリシスムとは何か』もさっそく読んでみました。日のキリスト教、聖書学の先生方は学位が取りやすいためかドイツで学ばれた方が多く(失礼!)、フランスで出版されたはあまり日の目がみませんでしたが、加藤先生によって、そうしたがどんどん紹介されるのは、ありがたいことです。 さて『カトリシスムとは何か』ですが、ひとことで云えば「キリスト教会の普遍主義(カトリシスム)とは何かという問題に多くの頁を割いたローマ・カトリックの歴史の概観」というあたりでしょうか。この手の

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  • 『小泉官邸の真実』 - pata

    『オフレコ!別冊 最高権力の研究 小泉官邸の真実 飯島勲前秘書官が語る!』田原総一朗 (編)、アスコム 『小泉官邸秘録』の長い後書きみたいなものでしょうか。小泉元首相の主席総理秘書官だった飯島勲さんが田原総一朗さんらの質問に答える形で、さらに少しだけ内閣の実像を掘り下げて解説してくれています。 いろいろ思うことはあったのですが、まず「小泉という人は派閥の領袖にはならなかったけど、一定回数以上の当選回数を重ねれば、派閥のおかげで高いポストに上がっていくことはできるというシステムのおかげで、総裁選にも出られたんだな」ということ。55体制の1府22省庁の頃は、3年生議員になれば政務次官、次に党務、さらに国会の仕事をこなしたら入閣という確かなコースがあって、小泉元首相のような変人でも厚生大臣や郵政大臣になり、寸前の所で大蔵大臣にもなれそうだったんだな、と(p.47)。 小泉という人は一匹オオカミで

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  • 『構造改革の真実』 - pata

  • 『日本近代技術の形成』 - pata

    『日近代技術の形成 “伝統”と“近代”のダイナミクス 』中岡哲郎、朝日新聞社 小田中先生のネタ張で紹介されていて「これは面白そうだ」と思って読んだのですが、想像以上に引き込まれたでした。うーん、思い切っていえば、ここ数年で一番、感動した、みたいな。 だいたい成立過程からしていいというか納得的なんです。 このは、なぜ日が欧米の植民地にならなかっただけでなく、経済発展を遂げ近代的な産業社会を形成することができたのか、という問題に関して、メキシコの大学院で講演した時の講義を元に、維新政府による工部省事業から民間の紡績、鉄鋼、造船の各産業の発展に関して、技術史の視点で深く掘り下げながら見ていく、という構成なのですが、その510頁の大部なを書き上げる熱いモチベーションがちゃんと美しく説明されているのです。 幕末の雄藩は尊皇攘夷のための黒船と大砲を自力で製作するために、独自の工業化を目指すの

    『日本近代技術の形成』 - pata
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