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ブックマーク / www.j.u-tokyo.ac.jp (9)

  • 社会主義と全体主義再論

    筆者は、最近のいくつかの小論で、「〈現存した社会主義〉の社会科学」という視角を提示してきた(1)。まだ思いつきの域を出ず、今後練り直していく必要を感じているが、ここでは、そのための準備作業の一つとして、〈現存した社会主義〉の政治学へ向けた試論を、全体主義論再考という文脈の中で提出してみたい。 近年における全体主義論リヴァイヴァルの徴候については、旧稿「社会主義と全体主義」(2)でも触れたが、この傾向はその後も続いている。それにはそれなりの背景があり、決して単純に無視することはできない。そこには、現状を踏まえたある種のリアリティーがあることは確かだからである。 しかし、同時に、リヴァイヴァル論者の議論には、現にソ連その他の社会主義が崩壊したという既成事実を「勝てば官軍」的にとらえ、「勝利」の勢いに乗って、はしゃぎすぎているところがあり、それをそのまま受け取るわけには行かない。このことは、たと

  • http://www.j.u-tokyo.ac.jp/sl-lr/index.html

  • スターリン批判と日本

    「スターリン批判と日」というテーマがどの程度の人の関心を引くかは、にわかには何ともいえない。スターリン批判半世紀という記念の年(二〇〇六年)にほとんど行事らしいものがなかったことからすると(1)、一般の関心は高くないというのが現実かもしれない。 社会主義が過去のものとなった以上、その歴史の一こまに過ぎないスターリン批判(一九五六年)についても、今頃ほじくり返してもあまり意味がないという感覚が一般なのかもしれない。確かに、長い時間が経過し、その間にソ連・東欧の社会主義圏の解体という事態を挟んでいる以上、現状と直結する形での「総括」やら「教訓化」やらは時代錯誤になりかねない。スターリン批判をバネにして社会主義論の再検討や新しい左翼運動の形成を目指すという考えは、一九六〇‐七〇年代にはかなりの広がりをもち、アクチュアルなものであるかに見えたが、今日の情勢にそれを直接持ち込もうとしても、空回りと

  • 大嶽秀夫『新左翼の遺産』読書ノート

    ある時期に多くの人々の情念を揺さぶった「熱い」出来事が、時間の経過とともに、距離をおいて振り返ることのできる対象となり、「冷静」かつ「客観的な」歴史研究の対象となるのは珍しいことではない。直後には沈黙していた当事者たちが自らの過去を淡々と語る心境になり、回想やオーラル・ヒストリーが素材として使えるようになるという事情も、それを促進するだろう。「忘却」という現象は、その対象が有意味性を失ったことの自然な結果とは限らず、むしろ「忘れてしまいたい」という半ば無意識的な抑圧の産物であることがよくあるが(1)、そのようにして「忘れられて」いた事柄が距離をおいて思い出されることは、ある種のカタルシス効果をもつかもしれない。 一九五〇年代後半から七〇年代前半くらいまでの時期に広い範囲の人々を捉えた「新左翼」運動――その二つのピークとして、六〇年安保と六〇年代末の大学闘争が挙げられる――が、最近になって回

  • 稲葉・立岩・塩川トークショー - 『所有と国家のゆくえ』

    稲葉 日は、私と立岩真也さんで共著で作らせていただいた、まあ共著といっても対談ですけど、いろいろ後で書き足したりしているので、喋り流した無責任なものではないと自負しておりますが、これの刊行記念というか、ちょっとポスト・スクリプト的に、まあこれを踏み台にしてこの次をやっていかなくてはいけないので、このような会をジュンク堂書店さんのほうで設けていただいて、ありがとうございます。そういうことですので、日は二人だけで閉塞してお互いに誉めあうというのも醜いので、厳しいコメントをいただけるゲストの方を考えておりまして、日おいでいただいたのが東京大学法学部教授、ロシア・ソ連史をご専門にされておられる塩川先生です。時間も余りありませんので、ご紹介はそれくらいで。 ファースト・スピーカーは塩川先生に我々のでいただいたコメントをいただくのですけれども、まず、簡単になぜ私たちが塩川さんにコメントをい

  • http://www.j.u-tokyo.ac.jp/~shiokawa/ongoing/books/deman.htm

  • 市野川『社会』読書ノート

    書の著者、市野川容孝のことを私はこれまであまりよく知らず、作品を読んだこともほとんどなかった。それでも、漠然たる知識として、医療社会学という分野の研究者らしいということと、この分野は私自身は通じていないがなかなか面白い分野らしいという程度のことは意識していたので、ある程度気になる存在ではあった。 書は医療社会学という特定分野の作品ではなく、それともある程度関連してはいるが、ずっと広いテーマを扱っている。体裁としてはソフトカバーので、制限枚数超過といっても二〇〇頁強程度の小著だが、そのわりに重厚な書物であり、力作である。もっとも、紙幅の限られた一冊のにしてはやや欲張りすぎているのではないかという気もしないわけではない。取り上げられているテーマは、現代日政治・思想状況、西洋社会思想史、「社会」(あるいはむしろ形容詞としての「社会的」)という用語の概念史、「社会科学」の概念史、社会学

  • 「生命倫理ケース・スタディ」連載 - 生命工学・生命倫理と法政策

  • 集中講義:アメリカの生命倫理と法 - 生命工学・生命倫理と法政策

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