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ブックマーク / finalvent.cocolog-nifty.com (37)

  • ブログと金銭的インセンティブの辺り: 極東ブログ

    どういうふうに書いたらいい話題なのかよくわからないが、気がかりなので書きながら考えてみたい。発端は、ブログBigBang”オーマイニュースを巡る匿名性の問題について(2)---小倉弁護士に答える/ 心苦しいが鳥越編集長には勇退をお奨めする。”(参照)を読んでいて思ったことだ。最初にお断りだがエントリの批判ではないし、オーマイニュースへの批判でもない。 エントリの中心的な話題も、それはそれでとても重要なのだが、読後私はちょっと別の方向を考えていた。編集長が勇退する契機にはいろいろあるだろうが、一般的には経営状態である。雑誌なら編集長を変えることで刷新し売り上げを向上させたいものだ。そうした視点からすると、オーマイニュースと鳥越編集長の関係はどうなのだろうか。内容面で批判があるにせよ健全に運営されているのだろうか。つまり、利潤が上がり、投稿者=市民ジャーナリストに十分なキックバックが与えられて

  • 日韓の友好は冷静に考えればありえないだろう: 極東ブログ

    語で読めることもあって、東亜日報、中央日報、朝鮮日報の三紙のサイトはざっと眺める。が、最近はしだいに嫌になりつつある。竹島問題といい扶桑社の教科書問題といい、そんなことが話題なのかという感じが私にはする。こうした話題に巻き込まれるのが楽しい人も双方いるのだろうが、私にはどうでもいいことだ。三紙が韓国民の声をそれほど反映しているわけでもないことは、韓国のフリーペーパーの動向などからも察せされるのだが、それにしても、こうした反日嫌韓的な騒ぎの根はそれなりに深いのだろう。どうしたらいいのかと多少は思うのだが、どうにもならないのではないか。そんなおり、日版ニューズウィーク(3・16)に掲載されているピーター・タスカのコラム"日韓関係にひそむ危険な「純愛幻想」"が相変わらず秀逸だった。 タスカはクリアにこう指摘する。 では、日が誠意をもって過去の過ちをわびれば、韓国、さらには中国との関係が改

  • 昭和天皇靖国参拝発言、雑感: 極東ブログ

    昭和天皇靖国参拝発言について簡単に思うこと書いておきたい。最初に疑問に思ったのは、この文書の出現の経緯である。私が見た最初の報道は日経”昭和天皇、A級戦犯靖国合祀に不快感・元宮内庁長官が発言メモ ”(参照)であり、それには次のように「日経済新聞が入手した」とある。 昭和天皇が1988年、靖国神社のA級戦犯合祀(ごうし)に強い不快感を示し、「だから私はあれ以来参拝していない。それが私の心だ」と、当時の宮内庁長官、富田朝彦氏(故人)に語っていたことが19日、日経済新聞が入手した富田氏のメモで分かった。 その後、朝日新聞”昭和天皇「私はあれ以来参拝していない」 A級戦犯合祀”(参照)でも見かけ、ネットで読む分にはこちらのほうが記事の量は多い。が、出現の経緯について触れていなかった。富田朝彦氏の親族からどのように報道機関に流れたのかについてジャーナリズムは沈黙しているように思えるのが訝しい。あ

  • 夕張市自治体破綻、雑感: 極東ブログ

    今朝方、メロンを貰った。これは夕張市についてエントリを書けというなんかの神様の思し召しであろうか。しかし、夕張市自治体破綻については、話がどうも腑に落ちない。わけわかんないという感じだ。ま、それでもブログってみる。 報道などを見るに問題は、基的には、予算書に記載しない一時借入金が三百億円に達し、これを自転車操業にしていたのが原因である。それはわかる。夕張市の標準財政規模は四十五億円なのだからどう考えても異常な事態だ。 わからないのは、これだけの額がチェックできなかったのだろうかということ。それはありえないとしか思えない。北海道庁と総務省はわかっていたのだろう。特に北海道庁は夕張市がむちゃな地方債発行をしているとわかっていて認可した経緯がある。 そう考えると、北海道庁と総務省はどうするつもりだったのだろうか。いや、それが今回の結果ということなのだろうか。 こうした隠れ借金は夕張市だけではな

  • サッカーと愛国心: 極東ブログ

    サッカーと愛国心についてあまり考えたことはないが、ネットを見たりラジオを聞いていたりして、ふーんと思うことがちょっとあるでなんとなく書く。 米国人はほとんどサッカーに関心はないのだそうだ。お国柄というのだろうか、野球とかいわゆるアメリカン・フットボールとかバスケットとかそういうので足りているのだろう。そこまで自国に閉じてしまうのも愛国心かというと考えすぎでしょ。大衆とメディアの問題か、よくわからないけど。ただ、将来米国のサッカー人口が増えるという話も聞いたことがあるので数年後に変わるかもね。 英国ではというかイングランドでは、サッカーはそりゃもう職場を休んでみるくらいスゴイ人気だそうだ。が、これも愛国心がどうたらということは違うみたいだ。スゴイ人気といっても大半は男性の話らしく、女性はというとあまり人気がないらしい。なので奥さんがたはフットボール・ウィドウらしい。そういえば昔、コンピュータ

  • Don't be evil. 邪悪になるな。: 極東ブログ

    Don't be evil. 邪悪になるな。ということだが、Googleという会社のモットーである。DO NO EVILのマントラとも言われる。英語版ウィキペディアにも項目がある(参照)。「ザ・サーチ グーグルが世界を変えた」(参照)などからよく知られているところだが、さっき届いた日版ニューズウィーク記事”IT業界の優等生はどっちだ(Actions and Intentions)”にも簡単に由来が書かれている。 グーグルで大事にされるのは自由な雰囲気。普通の大企業のようになることを恐れたある社員は、社中のホワイトボードの隅に「邪悪になるな」という言葉を書きつけた。これが社訓となった。 正確ではないかもだが、そんなところ。そのグーグルが邪悪になった。 日語で読める記事としてはITPro”米Google,自身が「evil」であることを認める ”(参照)がある。 予想よりも早い展開だった。

  • 中国の対外武器販売が世界の紛争を悪化させている: 極東ブログ

    BBCが十一日付けのニュース記事”China arms sales 'fuel conflicts' ”(参照)で、中国の対外武器販売が世界の紛争を悪化させているとするアムネスティ・インターナショナルの報告書を取り上げていた。国内ニュースが出ないようなら、また日のアムネスティが例によって中国に配慮してか取り上げないようなら、少し極東ブログのほうに書こうかと思っていた。が、共同”中国の武器輸出非難 アムネスティ報告書”(参照)でベタ記事になっているようだ。 同団体は、兵器の輸出入データを国連に提出するよう促す「国連軍備登録制度」への参加を中国が拒否していることなどを批判。武器輸出の情報公開に向け「国連安全保障理事会の常任理事国、また主要な武器輸出国としての責務を果たすべきだ」と指摘している。 とりあえずそれだけ書いてあればマシなほうかな。ほいじゃ、今日のエントリはなし、とも思ったのだが、な

  • [書評]人生ごめんなさい(半村良): 極東ブログ

    書棚を整理していたら、半村良の人生相談人生ごめんなさい」が出てきて、しばし読みふけった。一九八三年から半年弱週刊プレイボーイに連載されていたものだ。たしか、今東光の人生相談の続編企画かなという記憶がある。 私は半村良のファンでもあるし、小説に描かれている人情話や人生訓みたいのが、この連載にコンデンスされて出ているように思え、そのためだけに週刊プレイボーイを買って読んでいた(若干嘘もあるか)。たぶん、収録されていないコラムもあるなという感じもしていたが、今では確かめようがない。 このも何度も読み返し、ついには自分の人生観の一部になってしまった。たぶん、今の若い人が読んでも面白いだろう。すでに絶版のようだが、古書で入手が難しいわけでもなくプレミアもついていない。 読みながら、そういえば昨今こんな愚問をよく見かけるなというのがあった。いや、愚問でもないか。「なぜ人を殺してはいけないか」という

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    monolith 2006/04/16
    なぜころ.殺していい場合と悪い場合がある.敵認定基準が肝
  • 民主党の深い闇: 極東ブログ

    昨日の朝日新聞社説”民主党 迷走の果ての総退陣”(参照)は冒頭「偽メールをめぐる民主党の迷走がようやく決着した。前原代表ら執行部が総退陣し、永田寿康衆院議員は議員を辞める」と切り出したのだが、これで「決着」なのだろうか。朝日新聞は戦前からそうだが事実と意見が混同される傾向がありこれもその一例で、ようするに「決着したい」という意見だけかもしれない。 事態が急展開したのは三月三十一日。翌日だったらその卓越したユーモアセンスに世間が爆笑して次は何?ということになりかねないのを懸念したのかもしれない。とりあえず単純に考えると同日公表された民主党の調査報告を見れば、前原代表ら執行部の総退陣以外はなかっただろう。”民主党 「メール」問題検証チーム報告書 ”(参照PDF)で注目されるべきは一千万円で西澤孝から情報を買い取ろうとした部分だ。少し長いが重要なので引用する。 ①2 月19 日(日)、永田議員は

  • ホリエモン、逮捕: 極東ブログ

    昨日九時過ぎにDVRのようすをチェックしたら、楽しみにしていた八時からのNHK「地球、ふしぎ大自然」が録画されていない。変だなと思ったら、ホリエモン逮捕の特番のようになっている。ホリエモン逮捕なんてどうでもいいから「追跡!カブトムシ大繁栄の秘密」が見たかった。その番組は来週になるらしい。 で、ホリエモン、逮捕。 確かにこの一週間の流れに乗ればさすがにそうなるのだろうなとは思った。ただ、一週間前「極東ブログ: ライブドア家宅捜索、お好みの陰謀論メニューを」(参照)を書いたときは、こんな微罪でどうすんだろと思っていた。この手の犯罪は執行猶予が付き刑務所入りはありえないので「この件で、ホリエモン、豚箱へということはない」と書いた。今朝になって一週間前のエントリに愉快な匿名コメントが付いていたの見た。 >この件で、ホリエモン、豚箱へということはない。 おもいっきりハズシましたね~w 次回のエントリ

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    monolith 2006/01/24
  • ライブドア家宅捜索、お好みの陰謀論メニューを: 極東ブログ

    あまり気のしないが世事をログするブログとしては昨日のライブドア家宅捜索についてふれないわけにもいかない。 予想された事態だったかというと、そのスジでは予想されていたのではないか。私は事情通ではないので知らなかった。が、違和感はなかった。昨日夕方NHKが報道のフライングをしたかのようでありそのあたりを疑問視するむきもあるようだが、私はそういう疑問は持たなかった。 今回の家宅捜索は端的に言ってそれほど重罪というわけでもない。この件で、ホリエモン、豚箱へということはない。 むしろ当面はメディアを巻き込んだ大げさな見せしめショーだろうし、しばらくまたお茶の間の話題提供だろう。今日は阪神大震災の追悼日、宮崎勤被告判決日、ヒューザー社長喚問といった話題が控えているのでそのカバーかと見るむきもあるようだが考え過ぎだろう。特にヒューザーの件では自民党衆院議員伊藤公介・元国土庁長官の関連が問われるかという期

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    monolith 2006/01/17
    いろいろな読みがあるなぁ.個人的には4でどこかで破綻を見てみたい
  • ホテル・ルワンダをあと三百軒ほど: 極東ブログ

    昨日たまたま十時のNHKニュースを見たら、映画「ホテル・ルワンダ」(参照)が日でも上映されるという話をやっていた。そういえば、そういう運動があることは「はてなブックマーク」で見かけたことがあるなと思い出した。私はその上映運動には関心ない。 そうしたこともあってか、ニュースのなかで上映を呼びかけた若者の話などを聞いてて、千二百人の人の命が救えて、そりゃよかったね、ダルフールにホテル・ルワンダをあと三百軒ほど建ててくれ、とつぶやくくらいだ。こうした虐殺がもう二度と起きないようにというような発言もあったかと思う。こっそり苦笑した。 二〇〇四年、欧米でルワンダ虐殺十周年のニュースはダルフール虐殺のニュースのただ中で流れた。目前に進む虐殺を止めることはできなかったのだった。虐殺……スーダン政府による民衆の虐殺だ。 なぜ国際社会が虐殺を止められなかったか。もう端的に言おうと思う。中国が原因である。ス

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    monolith 2006/01/13
  • 朴東宣のことを淡々とブログするよ: 極東ブログ

    1995年以降、イラクのフセイン統治下で表向き人道支援として実施されていた、国連による石油糧交換プログラムだが、その実態は、国際規模で巨大な不正にまみれていた。来なら制裁によってイラク民衆が困らないように、イラクが産出する石油で、国民生活に必要とされる糧と医薬品を物々交換的に供給することが目的だった。もちろん、物々交換ではない。巨大なカネがからむ。石油の市場価格との差分をチョロっとすればガバっと儲かる。その危ないカネの管理を行うはずの国連が不正にまみれて、裏金を手に入れていた。 フランスやロシアは国家レベルともいえる規模でこの不正に絡んでいたこともあり、当初は米国のイラク侵攻によってその実態が暴かれることを恐れていた。恐れていたのは、NHKも朝日新聞も同じだろう。仲良く、この国際的な疑惑事件について日国内で報道してこなかった(毎日新聞は報道していた)。国連に頓珍漢な幻想をいだいてい

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    monolith 2006/01/07
  • 暗いニュースリンクでもたぶんあなたに熟考してほしくない暗いニュース: 極東ブログ

    先日のエントリ「朴東宣のことを淡々とブログするよ」(参照)の続編というか、続編なんか書きたいわけでもないのだが、老いたるオリエント・ギャッツビー朴東宣問題の余波がさらに北朝鮮問題にまで広がっていて、極東ブログ的には時事のログとしても無視できない。 事態の紹介を兼ねて日語で読みやすい記事として産経新聞”北担当特使の職務停止 国連のイラク支援計画疑惑”(参照)を引用したい。 国連報道官は二十日、「イラク石油・糧交換プログラム」の不正事件をめぐり、独立調査委員会の調査対象となった北朝鮮問題担当のストロング事務総長特使(カナダ)について、疑惑が解消するまで職務を停止すると発表した。 職務停止は人の決断で、アナン事務総長も同意したという。特使は北朝鮮への人道支援問題をはじめ、六カ国協議では北朝鮮に参加を促すなどしてきた。職務停止により、国連の北朝鮮に対する働きかけが事実上中断することになる。

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    monolith 2006/01/07
  • [書評]人類の未来を考えるための五〇冊の本(ランド研究所): 極東ブログ

    米国の有名なシンクタンクの一つであり、インターネットの生みの親とも言えるランド研究所が人類の未来を考える上で重要だとする五〇冊ののリストを昨年年末に提示していた。”50 Books for Thinking About the Future Human Condition”(参照)がそれである。各書籍にはなぜそれが重要かという簡単な解説もある。 日人にしてみるとこうした書籍はできるだけ邦訳で読みたいものだ。なので、この機に邦訳があるものの対比リストをざっくりとだが作成してみた。 間違いもあるかもしれない。邦訳がないもので自分のわかる範囲については代替のを挙げておいた。 なお、米国のシンクタンクの重要性については、「第五の権力 アメリカのシンクタンク(文春新書)」(参照)を一読されるといいだろう。 過去 The New Penguin History of the World 図説 世

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    monolith 2006/01/05
  • [書評]プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神(マックス・ヴェーバー): 極東ブログ

    「プロテスタンティズムの倫理と資主義の精神」(参照)、通称「プロ倫」についてなにかを書こうと思うような日が来ようとは思いもかけなかった。「プロ倫」はただ百遍読めばいいのである。 しかし、馬鹿につける薬はないな、プロ倫を百遍読めとばかりも言えないかもしれないご時世でもある。ま、かく言う私自身がその馬鹿の部類でもあろうから、たまに恥をさらしておくのもいいだろう。 とはいえ、このがなんであるかについてはさすがに省略する。ブログを書く手間はあるが、プロ倫を解説する手間はさすがにない。なので、いくつかティピカルなポイントだけ簡単に記しておく。 カルヴァン的なプロテスタンティズムの「神の選びの教義」とは何か これを、「神が現世における人間の努力やその成果によって人間を選別し、勝利者を救済し、弱者を地獄に落とす」と理解している人は、およそ社会学なり現代社会・政治を論じるに足りない。昔なら、岩波文庫で

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    monolith 2005/11/26
  • スービック・レイプ・ケース: 極東ブログ

    今朝のNHKラジオを聞いていて、スービック・レイプ・ケースについてだが、あれ?と思ったことがあったので、簡単にログ(記録)しておきたい。 まず事件の概要だが、五日付け朝日新聞”米海兵隊員、フィリピンで強姦容疑 沖縄の基地所属”(参照)はこう伝えていた。 米比両国は、ルソン島中部を中心に、10月中旬から今月1日まで合同軍事演習を実施。海兵隊員らはスービック湾に寄港中の1日夜から2日未明にかけ、知り合った女性を船外の車の中で暴行した疑い。女性が訴えて発覚したという。 同記事には、マニラの米大使館の話として、この五人が沖縄の第三一海兵遠征部隊(31MEU)に所属していることを伝えている。一九九二年フィリピンから米軍が撤退して以降、米兵の強姦容疑事件が発覚したのは今回が初めてになる。 朝日新聞の記事ではどちらかというと反米運動の側に視点を置いている印象を受ける。 沖縄サイドの報道例としては、五日付

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    monolith 2005/11/22
  • [書評]心とは何か(吉本隆明): 極東ブログ

    隆明の講演集「心とは何か-心的現象論入門」(参照)は副題に「心的現象論入門」とあるが、これは吉の心的現象論の入門という位置づけになると、おそらく弓立社の宮下和夫が考えたのだろう。ネットをうろついたら、その様子をうかがわせる話が「ほぼ日 担当編集者は知っている」(参照)にあった。 吉さんの仕事を大きく分けると、3つになる。筋は文芸批評家だが、「言語にとって美とはなにか」「共同幻想論」「心的現象論」という3つの大きな仕事がある。 『心とはなにか-心的現象論入門』は、この「心的現象論」の最良の入門書だ。どこをとっても面白い。吉さんのを読んだことのないひとでもおもしろく読めるはずだ。心というとらえどころのない対象が、こんなにはっきりと考えられるのか、という驚きと、それでもなお、果てしなく残る不可思議さ。 優しい言葉のなかに宮下和夫の相貌のような気迫がこめられていると私は思う。この

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    monolith 2005/11/11
  • [書評]胎児の世界(三木成夫): 極東ブログ

    新書形式の「胎児の世界」(参照)をもって三木成夫の畢生の大作と言えば違うのだろうが、そう言たくなるほどのインパクトを持っている希有な書籍だ。思想家吉隆明は晩年になって書を初めとした三木の思想の直撃をくらい、心的現象論を大きく変えることになった。と、大上段に語ることもないか。普通のエッセイとして普通に読めるでもある。 内容は標題どおり「胎児の世界」である。受精し生命が誕生し母体のなかで人間になる過程を発生学の専門家である三木成夫が一般向けに語るのだが、その過程こそヘッケルが「個体発生は系統発生を繰り返す」としたように生命史が凝縮されてもいる。 が、正確に言えば、不用意な誤解を招くのを避けるのなら、言うまでもなく、ヘッケルのこの命題は間違いであり、そのあたりはWikipediaのヘッケルの項目(参照)や同じく反復説の項目(参照)でも参照されればいいだろう。と読み返すに、なかなかギャグっぽ

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    monolith 2005/11/10
  • [書評]記憶する心臓―ある心臓移植患者の手記(クレア・シルヴィア他): 極東ブログ

    このところ思うところあって「記憶する心臓―ある心臓移植患者の手記(クレア・シルヴィア他)」(参照)を読み返した。訳書は一九九八年に発売されたもので、もう七年も前になる。その後読み継がれているふうもないので事実上絶版になったようだが、アマゾンの古書では安価に手に入る。文庫で復刻されるかもしれない。 話は、実記の体裁をとっているが奇譚と言っていいだろう。クレア・シルヴィアというユダヤ人中年女性が脳死の若い男性の心臓と肺を受けて同時移植手術を受けたところ、術後に、移植元の若い男性の性格が乗り移ったり、また睡眠中の夢のなかでその若者にあったり、その若者の記憶が乗り移ったりしたというのだ。通常、移植手術を受けた人はもとの脳死者の情報を得ることができないが、彼女は夢で知った若者の名前を手がかりに人を突き止め、その家族に出会うことになる。 そんな話がありえるだろうか、臓器にそれ自身の記憶が宿り、移植手

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    monolith 2005/10/19