「出版社7社、作家・漫画家122人が『自炊業者』に質問状」が話題となっている。ここでは、スキャン代行業者に送付された質問状の内容と、今後の動きについて考える。 出版社7社、作家・漫画家122人が突きつけた質問状 書籍を裁断・スキャンして電子化する行為を表す「自炊」は、Googleなどで検索すると、本来の炊事の意味より上位にくるまでになった。実際、さまざまな理由――電子化して部屋を広くしたい、大量の書籍や漫画を電子書籍端末で読みたい、など――から、自炊を行うユーザーは増加傾向にあるが、スキャナや裁断機などの購入をためらうユーザー向けに、それらを代行してくれる業者も複数登場し、人気を博している。 そんな中、9月5日にニュースとなった「出版社7社、作家・漫画家122人が『自炊業者』に質問状」は、こうしたスキャン代行業者(自炊業者)に対する出版社・作家からのアクションとして注目を集めている。 著作
ニューヨーク市内にあるボーダーズの大型店舗=山川写す 米国で約670店を抱える書店チェーン第2位が16日、倒産した。インターネットでの書籍販売や電子書籍が普及し、米国では書店ビジネスそのものが崩壊の危機にある。 ■ネット販売・電子書籍台頭 「手元資金が枯渇し、将来に向けて戦略を立て直すのに必要な原資がなくなった」。破産裁判所に米連邦破産法11条を申請した米書店チェーン2位のボーダーズ・グループのマイク・エドワーズ社長はこうコメントした。 同社は金融会社からつなぎ融資を受け、業務を続けながら再建を目指す。3割にあたる約200店を今後数週間以内に閉め、従業員も多く解雇する見通しだ。 ただ、再生できるのか、疑問の声も多い。 同社は1971年に創業以来、都市部を中心に大型店を展開してきた。多くの品ぞろえで消費者を引きつけ、ピークの2005年には1200店を超えた。 しかし、その
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「星海社」の設立会見に臨む(左から)講談社の野間省伸副社長、星海社の杉原幹之助社長、同・太田克史副社長=東京都文京区の講談社 出版不況の中で電子書籍が普及元年を迎え、危機に立たされた出版社がデジタルメディアとの共存を模索している。講談社は今年4月、100%出資の子会社「星海社」を設立。WEBと紙の書籍、イベントを組み合わせた「新しい出版事業」の確立を目指し、試行錯誤を重ねている。(長谷川陽子) コピー&ペーストも自由 「よく電子書籍の会社だと思われがちなんですが、そうではないんです。もちろんいずれは参入しようと考えていますが」 星海社の杉原幹之助社長(40)はそう語る。 星海社が事業のメーンに据えるのは、独自のウェブサイト「最前線」。まずこのサイトで、新作の小説や漫画を無料で公開する。作品のコピー&ペーストも自由で、気に入った小説のフレーズを、ツイッターの画面に張り付けることもできる。 そ
書店最大手の紀伊国屋書店(本社・東京)が、紙の本と電子書籍の両方を扱って相乗効果を狙う電子書店を年内にも開設する。店舗を持つ書店では国内初の試み。他の大手書店も追随する見込みで、電子書籍の普及が一気に加速する可能性がある。 電子書店は「紀伊国屋書店BookWebPlus(ブックウェブプラス)」。電子書籍は約1200タイトルをそろえ、1年以内に3万タイトルに増やす。紙の本も、店舗とネットで取り扱っている約80万タイトルを並べる。 当面はアップル社のiPadとiPhone向け。ユーザーは、ソフト配信サイト「アップストア」から無料で入手できる専用アプリを通して購入する。今後発売される電子書籍端末にも、条件が合えば対応する。 米アマゾン社の電子書籍専用端末「キンドル」の日本版が来年には発売される見込みで、その前に市場の主導権を握るのが狙いだ。 オープン時点では、光文社の約600タイトル、講
左から、協議会代行理事で凸版印刷トッパンアイデアセンターマーケティング本部長の名和正道さん、協議会副会長で凸版印刷の大湊満常務、協議会会長でDNPの高波光一副社長、協議会代行理事でDNPの北島元治常務 大日本印刷(DNP)と凸版印刷の2社を発起人とする電子書籍の業界団体「電子出版制作・流通協議会」が7月27日、正式に発足した。新聞社や印刷会社に加え、東芝などメーカーや、NTTドコモなど通信業者、電通など広告代理店を含む89の企業・団体などが参加。「日本の出版文化を残しながら、電子書籍ビジネス発展のための環境作りを行う」としている。 参加するのはこのほか朝日新聞社、毎日新聞社や、トーハン、日本出版販売など取次、ヤフー、ヤッパ、NTTコミュニケーションズ、UQコミュニケーションズなどネット・通信、モリサワ、大日本スクリーン製造といったフォントメーカーなど幅広い。メーカー系はパナソニックや富士ゼ
◇米独占を阻止へ、日本連合で対抗 ネットからダウンロードして楽しむ電子書籍。日本でも関心が高まり、「今年は電子書籍元年」とも言われる。電子書籍の普及は業界や作家、読者にどんな影響を及ぼすのか。【井出晋平、佐々本浩材、弘田恭子】 「米アマゾンやアップルは、作家から作品を直接仕入れ、電子書籍製作から配信・課金、端末まで一手に握る独占モデルを狙っている。主導権を握られれば、日本の出版業界は崩壊しかねない」--。 27日に電子書籍にかかわる業界団体「電子出版制作・流通協議会」を凸版印刷と共同で発足させる大日本印刷。同社幹部は長年のライバルと手を組み“日本連合”作りに乗り出した理由をこう説明する。出版社や書店、端末メーカー、通信会社に参加してもらい、印刷や書店も含めた業界の分業体制を維持する「日本独自の電子書籍の出版・流通モデル」の構築が狙いだ。関係者は「日本勢がバラバラでは、“黒船”に電子書籍市場
長引く出版不況に加え、電子書籍の人気に押され気味の「まちの本屋さん」。東京ビッグサイト(東京・有明)でこのほど開催された「東京国際ブックフェア」でも、「書店の生き残り策」が熱心に議論された。ピンチをチャンスにできるのか。全国の有力書店の先進的な取り組みを紹介したい。【内藤陽】 「うちの購買率は40%台後半です」。東京・丸の内の丸善本店の壱岐直也・前店長は胸を張った。購買率とは、来店した客のうち実際に書籍・雑誌を購入した客の割合のこと。「昔は30%、いまなら20%」といわれる中、同店は群を抜いている。JR東京駅前のビジネス街にある売り場面積約5780平方メートルの大型店。本を買うのは30~40代の会社員が中心だ。 「あり得ない購買率」(出版関係者)を支える柱の一つが、同店の一角に昨年10月に設けられた編集工学研究所長の松岡正剛さんがプロデュースした書棚群「松丸本舗」。約220平方メートルの売
連載第6回で印象的だったのは、電子書籍に長く携わっているボイジャー 萩野社長の「大手印刷会社よりも規模の大きい出版社はない」という発言だった。 我々はどうしてもiPadやKindleなどの端末の機能であったり、インタラクティブなギミックに目を奪われがちだ。しかし、グーグルや印刷大手の取り組みは、より多くのコンテンツ(作品)をどのように獲得するか、その仕組み作りに着々と投資し、出版社の支持を得つつある。 折りしも2010年7月8日~11日の4日間、東京ビッグサイトにて第17回東京国際ブックフェア(TIBF2010)が開催された。電子書籍への関心の高まりから、ビジネスデーはもちろん、一般公開日にも大勢の来場者が押し寄せた。 今回は、ブックフェアのリポートを通じて、グーグルと国内印刷大手(トッパン・大日本印刷)の動向を中心にまとめてみたい。 出版社からも肯定的な反応「Googleエディション」
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今年5月に行われた「第10回文学フリマ」の仕掛け人、米光一成立命館大学映像学部教授とエンジニアの松永肇一氏の対談も3回目となりました。前回は、米光教授が受け持つ講座の「部活」として始まった電子書籍部が、実際に電書の対面販売を行った模様を伺いました。 今回は電書を作って売るまでに、いったいいくらかかって、いくら儲かったのか、という、核心に迫るお話を赤裸々にお話してもらいます。(前回から読む) ―― 文学フリマで電子書籍を買うのはとても簡単でした。買いたいものを選んで、お金を払うだけ。お客さんにしてみたら精肉店で肉を買うのとなにも変わらない。ところが、その裏ではクラウドコンピューティングを駆使した、技術的にかなり高度なことが行われている――。前回はここまでお話をお伺いしました。 で、今回はお金の話を伺いたいんです。文学フリマで、電子書籍の対面販売は儲かりましたか? 米光 最初から儲けるつもりが
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