ジェームズ・キャメロンの実に12年ぶりの監督作『アバター』は、最先端の3D(立体)映像技術による圧倒的な視覚体験を堪能できる超大作として、昨年末の公開後、世界的な大ヒットを続けている。その勢いは凄まじく、つい先日は、自らの前作『タイタニック』(1997)が保持していた映画史上最高の興行収入記録をあっさりと塗り替えてしまった。先日開催された第82回アカデミー賞でも作品賞以下9部門にノミネートされ、撮影・美術・視覚効果賞の3部門で受賞した。本作は西暦2154年の未来に、地球から約5光年離れた衛星パンドラを舞台に繰り広げられる、人類とパンドラの先住民族ナヴィ族との攻防を描いたキャメロンらしいスペクタクルSFである。 素朴な感想から入ると、すでに各所で指摘されているようだが、私が劇場で本作の映像を観た時に真っ先に連想したのは、実は宮崎駿の諸作品だった。例えば、太古の原生林が残る秘境に暮らす野性的な