インフレが深刻化する中、賃上げの議論が活発化してきている。新年早々、首相も経団連会長も賃上げの必要を訴えている。ただし、報道を見ると賃上げの政府や経団連の賃上げ対策は、個別企業に対する「お願い」にとどまっているようである。 果たして、首相や経団連会長の賃上げの「お願い」は有効なのだろうか。とりわけ、相対的に立場が弱く賃金も低い非正規雇用労働者の賃上げは、こうした「お願い」によって実現可能なのだろうか。 参考:岸田文雄首相:「賃上げをなんとしても実現する」「インフレ率を超える賃上げの実現をお願いしたい」(TBS) 参考:経団連・十倉雅和会長「物価高に負けない賃上げを会員企業にお願いしている。これはもう企業の責務。」(ロイター通信) 安倍政権下の「官製春闘」でも賃金は上がらなかった 実は、首相による賃上げの「お願い」という方法は、すでに先例がある。安倍政権下の「官製春闘」だ。「春闘」は労働組合