同和地区を撮影した投稿動画の削除を命じた神戸地裁柏原支部の仮処分命令は、差別を助長しかねない投稿が横行するインターネットの在り方に一石を投じる形となった。兵庫県内の自治体もヘイトスピーチや部落差別などの書き込みを防ぐため、ネット掲示板などを監視するモニタリング事業などに取り組んでいるが、「表現の自由」との兼ね合いもあり、被害が軽減されているとはいえないのが実情だ。関西大学の内田龍史教授(社会学)は「閲覧者の理解、知識不足も原因の一つ」と警鐘を鳴らす。 部落解放同盟兵庫県連合会の橋本貴美男書記長は、今回の決定について「画期的」と評価。「丹波篠山市が、積極的に動いてくれたことが大きい」とする。一方で「今でも誤った知識が広まっている」と危ぶむ。 自治体によるネット監視事業は全国的に広がっている。兵庫県内では2010年、尼崎市が先行実施し、20年12月時点で県と24市町が監視に乗り出した。法整備も