1年半振りにモスクワにやって来た。 5月9日の戦勝記念パレードを取材するためである。 今回はクレムリンすぐそばのホテルをとったのだが、タクシーの運転手が「やばい、もうすぐパレードのリハーサルで通りが閉鎖されちゃうよ」という。 え、リハーサルって今日だったっけ、と凄まじいスピードで飛ばすタクシーの座席にどうにか掴まりながら宿まで届けてもらい、荷物を放り込むとトヴェルスカヤ通りへ急いだ。 赤の広場正門にまっすぐ続く目抜き通りで、パレード本番やそのリハーサルとなるとここに出番を待つ戦車や装甲車、ミサイルなどがびっしり並ぶ様は壮観である。 夜7時過ぎ、郊外のアラビノ演習場で待機していたパレード部隊がトヴェルスカヤ通りに入って来た。 まずは故障車を回収するための工兵部隊、次に故障に備えた予備、そして本隊という順番なのだが・・・ 「あれ、今なんか見たことがない榴弾砲が通ったぞ」 妙に角張った砲塔は明ら