人はみな、年をとって ここ数年の小西康陽は、歌っている。時にはバンドを従えて、時にはギターの弾き語りで。2020年にはライブ盤『前夜』も発表した。なぜ小西康陽は今、歌うのか。 小西康陽 1972年に親がニール・ヤングの『ハーヴェスト』というレコードを買ってきて、その年に僕もギターが弾けるようになって。自作自演のシンガーソングライターに憧れて音楽に入っていったから、本当はきっと僕も歌いたかったんですよね。でも、大学時代にサークルで初めてライブをやって、やったぜと思って家に帰ってテープを聴いたら、ひどくて。これは俺は歌っちゃいけないんだと思った。それからずっと歌ってこなかった。でも、人はみな年をとって、なんかね。いよいよ自分でも弾き語りをやってみようとなって、自分で歌える曲がたくさんあると気づいたときは嬉しかったですね」 ピチカート・ファイヴの解散後にファンに出会うと、「詞が良かった」と言われ