安倍政権の体力を奪い続けてきたのは、森友学園・加計学園問題や、桜を見る会など「身内優遇」の姿勢が要因となった不祥事の数々だ。安倍晋三首相はいずれも直接的な関与を否定してきたが、「安倍1強」による官僚人事の掌握が政と官の関係をゆがませて「忖度(そんたく)」を招き、その結果として生じた問題が多いとの見方は根強い。【青木純、宮原健太】 1次政権の事務秘書官4人は高官に 首相は07年に退陣した際の1次政権での首相秘書官や、退陣後の失意の時期も交遊を求めてきた議員らを2次政権で厚遇した。たとえば1次政権の事務秘書官4人は現在、首相補佐官、国家安全保障局長、官房副長官補、日本政策金融公庫総裁(元財務事務次官)を務める。「身内」の厚遇は首相の求心力を高めたが、森友・加計・桜で疑念を向けられる要因ともなった。 その姿勢のツケは、政権終盤に二つの問題でかえってきた。 今年1月、政府は黒川弘務・東京高検検事長