日本学術会議が揺れている。会員候補6人の任命拒否問題から国民の目をそらせるように、菅義偉首相は「組織全体の見直しをしなきゃならない」(26日のNHK番組)と述べるなど、組織の抜本的な改革に向けた議論を進めようとしているからだ。本格的な改革が実施されることになれば、2004年の日本学術会議法改正以来となる。当時の改革議論にもかかわり、1997年から6年間、日本学術会議会長を務めた吉川弘之・東京大名誉教授(87)に、「学者の国会」と呼ばれる学術会議の意義と課題を聞いた。【永山悦子/オピニオングループ】 政府と学術会議、かつては信頼関係があった ――任命拒否を知ったとき、どう思いましたか。 ありえないことで、何かの間違いかと思いました。海外でも会員の選考はアカデミーの自由に任されていて、政府や王室がそれを追認する形です。今回は、首相が任命拒否された6人の名前が入っていない名簿しか見ていないとか、